ブルージェイズ川﨑宗則、悲願のプレイオフ出場なるか? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 その躍進を支えているのは、攻撃力です。7月21日まで1試合平均3.97だった得点が、その後は4.50。やはりそれは、1番に返り咲いた青木選手の存在が大きいでしょう。一時は故障者リストに入り、復帰後は9番に起用されていました。しかし、最近になって1番バッターに再び抜擢されると、8月は16試合で打率.327・1本塁打・13打点・6盗塁・13得点と、申し分のない成績を残しています。青木選手がチーム躍進の原動力となっているのは間違いありません。

 ロイヤルズは残り40試合のうち、24試合が勝率5割以下のチームとの対戦です。日程的にも有利なので、デビッド・プライス(前レイズ)を獲得したタイガースと最後まで熾烈な首位争いを演じるのではないでしょうか。もし、ロイヤルズがプレイオフに進出すれば、1985年以来29年ぶりの快挙です。現在、メジャー30球団で最もプレイオフから遠ざかっているチームなので、アメリカでも大いに話題となっています。

 そして最後、岩隈久志投手の所属するマリナーズも現地で大きな盛り上がりを見せています。8月13日にマリナーズは65勝55敗で貯金10になりましたが、これは2007年以来の出来事なんです。8月中旬の段階でこれだけの貯金を積み重ねられているのは、投手陣の奮闘のおかげでしょう。チーム防御率は、メジャー30球団で唯一3点台を切る2.94。8月1日から13試合連続で3失点以下という記録もマークしました。つまり、どの投手もピッチングが安定しているのです。

 優秀な先発陣を引っ張っているのは、エースのフェリックス・ヘルナンデスと、2番手の岩隈投手です。いまやこのふたりは、「メジャーナンバー1の先発2枚看板」と言われています。ヘルナンデスは1900年以降の近代野球で新記録となる「16試合連続7イニング以上2失点以下」という金字塔を打ち立てましたし、2年連続ふたケタ勝利を挙げている岩隈投手も8月の防御率は0.84。夏場になると疲れやケガで成績を落とす日本人投手が多い中、岩隈投手のピッチングは完璧です。この調子でいけば、2001年以来のプレイオフ進出も夢ではありません。

 レギュラーシーズン残り1ヶ月半ですが、すでにプレイオフの試合を見ているかのような緊張感があります。しかも、日本人メジャーリーガーの活躍がそのまま結果に反映する試合ばかりなので、どれも目が離せません。はたして最後にプレイオフの切符を手にするのは、いったい誰なのか——。チームの貴重な戦力として活躍する日本人選手の一挙手一投足にぜひ注目してください。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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