ブルージェイズ川﨑宗則、悲願のプレイオフ出場なるか? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 また、ヤンキースと同じ東地区のブルージェイズも、ワイルドカードに食い込む可能性を十分に残しています。7月2日までブルージェイズは、東地区の首位を走っていたものの、8月に入ると4勝11敗と大きく負け越し、オリオールズに逆転を許してしまいました。不調に陥った最大の原因は、得点力の低下でしょう。一時期はア・リーグトップの得点力を誇っていたのですが、8月は一転してリーグ最下位。まったく打線がかみ合わなくなったのです。

 そんなブルージェイズにおいて、奮闘を続けているのが川﨑宗則選手です。6月17日に再昇格して以来、ずっとメジャーで生き残り、主に二塁手としてスタメン起用されています。また、二塁だけでなく、三塁やショートも守るなど、貴重なユーティリティプレイヤーとして重宝されているのです。

 今シーズンの川﨑選手で特筆すべきは、バッティングでしょう。メジャー1年目の2012年は打率.192だったのが、昨年は打率.229となり、今年は打率.279と急上昇させているのです。ブルージェイズは他球団から内野手を獲得したり、ユーティリティプレイヤーを探すなど、メジャー昇格後も川﨑選手には様々な試練を与えてきました。しかし、その後も川﨑選手が起用されているのは、好調なバッティングでアピールできているからだと思います。

 もちろん、川﨑選手の堅実な守備も無視できません。どのポジションでもそつなくこなし、今年のエラーは6個だけです。たびたび披露する守備での好プレイも高評価につながっているのでしょう。内野というポジションは連携プレイが多いので、周囲とのコミュニケーションが何よりも大事。ブロークンな英語であっても積極的に話しかける明るさが、川﨑選手の大きな強みです。まったく物怖じしない性格でチームメイトとコミュニケーションを深めているのでしょう。ブルージェイズがプレイオフに進出することができれば、川﨑選手は25人のメンバーに入るのではないでしょうか。チームに欠かせない名脇役として、今の川﨑選手はセントルイス・カージナルス時代(2002年〜2007年)の田口壮選手のような存在だと思います。

 そして中地区では、青木宣親選手を擁するロイヤルズがプレイオフに進出できるかどうかも注目です。7月21日時点でのロイヤルズは、中地区で3位のポジションでした。しかしその後、20勝5敗という破竹の勢いで一気に首位の座を奪い取ったのです。特に8月に入ると、今シーズン2度目となる8連勝をマークするなど、絶好調をキープ。ロイヤルズが過去に1シーズン2度の8連勝を達成したのは、黄金時代に記録した3回(1977年、1978年、1980年)だけ。今シーズンのロイヤルズの快進撃には目を見張るものがあります。

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