メジャー3年の経験を糧に、川﨑宗則の打撃が開眼

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

「自分の仕事をわきまえていますね。たとえ凡打になったとしても、少しでも多くのボールを投げさせようとしている。それに、ただ球数を多くさせるだけでなく、少しでも甘く入ると確実にとらえてくる。本当に嫌らしいバッターだと思います」

 そう語ったのは、ヤンキースの黒田博樹だ。これまでふたりの対戦成績は13打数6安打、打率.462。川﨑といえば、日本時代から好球必打が持ち味の選手だった。ファーストストライクから振っていく積極的な打撃が特徴だったが、それに加えて、今は相手に数多くの球を投げさせながら結果を残している。それはカウント別の打率にもはっきりと表れている。

初球/14打数6安打(打率.429)
平行カウント(1-1、2-2)/45打数15安打(打率.311)
フルカウント(3-2)/21打数7安打(打率.333)

 それでも川﨑はこう語る。

「いつもやられっぱなしですよ。みんなが思っている以上にやられています。みんなの知らないところで泣いているんです」

 現在、チームは60勝53敗。ア・リーグ東地区で首位のオリオールズと4ゲーム差の2位につけている。21年ぶりのポストシーズン進出に向け鼻息は荒いが、川﨑は「いつも通りやるだけ」と冷静だ。

「どの時期が大事かというのはないんじゃないですかね。4月も大事ですし、9月だってもちろん大事です。いつも大事ですよ」

 日本でプレイしている時は、常勝軍団・ホークスの主力として何度もチームを優勝に導いてきた川﨑。勝ち方を知る川﨑だからこそ、これから正念場を迎えるブルージェイズにとって最も必要な選手であることは間違いない。

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