後半戦、激化する地区優勝争い。キーワードは「西高東低」? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 前半戦、アスレチックスが勝ち星を順調に伸ばせたのは、若い先発投手陣のおかげでした。ただ、チームを牽引してきたソニー・グレイ(11勝3敗・防御率2.72)やジェシー・チャベス(7勝6敗・防御率3.14)は、これまでシーズンを通して投げ抜いた経験がありません。よって、今後は相手に研究されるなど、長いレギュラーシーズンで好調をキープし続けるにはリスクがあるのです。そのため、サマージャやハメルといった選手を補強することで、一気に地区優勝まで駆け上がる算段なのでしょう。

 ただ、2位のエンゼルスも簡単に引き下がる相手ではないと思います。近年のエンゼルスは低迷続きで、昨年も78勝84敗と負け越すなど期待外れに終わっていました。しかし今シーズンは、見違えるように強く生まれ変わりました。特にシーズン中盤からのエンゼルスは絶好調です。

 強くなった要因は、若き豪腕ギャレット・リチャーズ(11勝2敗・防御率2.47)の成長、主砲アルバート・プホルス(打率.272・20本塁打・65打点)の復活、そして若きスターのマイク・トラウト(打率.309・24本塁打・76打点)の存在が大きいでしょう。特にトラウトは今年のオールスターでMVPに輝き、レギュラーシーズンとのダブル受賞も大いに可能性ありです。投打のがっちりかみ合った今年のエンゼルスは、シーズン終盤までアスレチックスを苦しめることでしょう。

 さらにエンゼルスにとって心強いのは、新しいクローザーを加えられた点です。7月18日にサンディエゴ・パドレスからメジャー通算258セーブのヒューストン・ストリートをトレードで獲得しました。近年、エンゼルスが低迷していた原因のひとつは、クローザーの不在です。勝負どころで勝ち切れず、何度も終盤でゲームを落としていました。しかし、ストリートは今シーズンもパドレスで前半戦24セーブを挙げるなど、正真正銘のクローザーです。しかも、2006年のアスレチックス時代と2009年のコロラド・ロッキーズ時代にはプレイオフも経験しています。頼りになる守護神を加えたエンゼルスは、ア・リーグ西地区でさらにハイレベルな戦いを見せてくれるでしょう。

 昔は東地区がア・リーグを牽引していましたが、最近の主役は西地区に移りつつあります。東西の力関係が逆転した傾向は、ナ・リーグでも同じです。今シーズン、メジャーリーグで最も面白い地区優勝争いを演じているのは、ナ・リーグ西地区だと思います。

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