後半戦、激化する地区優勝争い。キーワードは「西高東低」? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO


 特に後半戦のヤンキースには、期待の持てるデータがあります。それは、ホームフィールドアドバンテージです。2009年に本拠地のヤンキースタジアムは新しく生まれ変わりましたが、過去5年間のホームでの成績を調べてみると、ヤンキースはメジャートップの勝率.637を残しているのです。しかも、今シーズン後半戦のスケジュールを見ると、ヤンキースのホームゲームはメジャー最多の41試合。日程的に恵まれているので、後半戦で一気に巻き返してくるかもしれません。

 その浮上のカギを握っているのは、間違いなく先発陣です。田中将大投手やCC・サバシアなど、黒田博樹投手以外の先発陣は軒並み故障続き。地区優勝を狙うためには、新たな先発ピッチャーの奮起が必要となるでしょう。

 そこで注目したい先発ピッチャーは、7月6日にアリゾナ・ダイヤモンドバックスからトレードで獲得したブランドン・マッカーシーです。2012年のオークランド・アスレチックス時代に日本で開幕投手を務めたので、覚えているメジャーファンも多いのではないでしょうか。今シーズン、ダイヤモンドバックスで投げていたマッカーシーは、3勝10敗・防御率5.01と芳(かんば)しくない成績でした。しかし、ヤンキース移籍後は1勝0敗・防御率1.42と、非常に安定したピッチングを披露しています。

 マッカーシーは素晴らしいコントロールの持ち主で、フォアボールも少なく、ヤンキースが好むタイプのピッチャーです。7月19日のシンシナティ・レッズ戦では、6イニングを投げて無四球9奪三振の好投を見せています。チームに勢いをつけるのが先発投手の役目なので、マッカーシーの活躍に乗っかってヤンキースが浮上していけば、ア・リーグ東地区はグッと面白くなると思います。

 その東地区とは対照的に、今もっとも高いレベルで優勝争いを演じているのがア・リーグ西地区です。前半戦終了時点で、1位のオークランド・アスレチックスが59勝36敗・勝率.621、2位のロサンゼルス・エンゼルスが57勝37敗・勝率.606。勝率6割以上でシーズンを折り返したのは、メジャー30球団でこの2チームしかありません。過去20年間で同じ地区のチームがメジャー勝率1位・2位で前半戦を折り返したのは、わずか4回。そんなハイレベルな両者が、わずか1.5ゲーム差で競い合っているのです。

 首位のアスレチックスは現在ア・リーグ西地区を2連覇中。今シーズンも安定した強さを発揮しています。それを支えているのは、メジャートップの防御率3.10を誇る投手陣です。それにもかかわらず、アスレチックスは7月5日にシカゴ・カブスからジェフ・サマージャ(3勝8敗・防御率2.91)とジェイソン・ハメル(8勝7敗・防御率3.35)いう実績ある先発右腕ふたりをトレードで獲得しました。これこそ、アスレチックスの抜け目ない強さの秘訣だと思います。

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