ヤンキース傘下・加藤豪将が胸に刻むイチローからの金言

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 そして加藤は、人生初のひとり旅を決行した。サンディエゴから成田へ飛び、そこからイチローが練習を行なっている神戸へと向かった。そこで加藤は2日間、オリックスのほっともっとスタジアム神戸の室内練習場でイチローと練習をともにした。

「すごく短かった」と加藤は振り返った。

「2日間だけでしたが、イチローさんから学んだことは計り知れないぐらい大きかったです。間違いなく私の野球人生に大きな影響を与えてくれました。本当に貴重な体験でした。これまでテレビや観客としてしかイチローさんを見たことがなかったのですが、実際に会うことができ、打撃練習まで一緒にすることができたのです。ただ、スイングを見ているだけですごいなという気持ちにさせられました。それに、いろいろと質問をさせていただいたのですが、すごくためになりました。もう最高でした!」

 加藤はイチローのスイングを見た時の印象をこう語った。 

「イチローさんのスイングはとても速く、力強いものでした。引き締まった体から、予想以上のパワーがボールに伝わっていました。練習で手を抜く人がたまにいますが、イチローさんの場合は、すべてのスイングに100%の力が注ぎ込まれていました。左右に打ち分けながら、すごい打球を飛ばしていました。それに、ボールが地面すれすれに来たとしても、それをすくうように打ち、ランナー性の当たりを飛ばしていました。私にもこのような技術があったらなあ、と思いました」

 この2日間の練習で、いちばん心に残っているのは何かと聞くと、「イチローさんに打撃フォームについて教わったことです」と加藤は答えた。

「私の打撃フォームそのものについては、特に何も言いませんでした。しかし、『好きなフォーム、自分の体に合ったフォームを探し、それを貫き通すことだ』と言ってくれました。この言葉には非常に驚きました。今までは、たったひとつの理想のフォームがあり、そのフォームを探し出さなければいけないと思っていました。だからこそ、イチローさんの口からこのようなことを聞けたことは、すごくためになりましたし、イチローさんのユニークなフォームを見れば、すぐに納得しました」

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