2014.07.10

田中最大のライバル。全米を驚かせたもうひとりの新人

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 一方、田中投手以外で全米を驚かせたピッチャーは、シンシナティ・レッズのジョニー・クエトです。彼はすでに実績のあるピッチャーですが、シーズン前半の活躍には目を見張るものがありました。改めて紹介すると、2008年にデビューしたドミニカ共和国出身のクエトは、2012年に自己最多の19勝(9敗)を挙げたレッズのエースです。身体178センチと小柄なことから、デビュー当初から同じドミニカ出身のペドロ・マルティネス(1992年~2009年/ボストン・レッドソックスなど)とよく比較されていました。

 クエトの持ち味は、150キロを超すストレートと、キレのあるシンカーです。そのシンカーが今年、クエトを再ブレイクさせた要因と言えるでしょう。昨年は右肩の故障により11試合しか先発できず、5勝2敗という納得のいかないシーズンでした。しかし、今年は18試合に先発し、8勝5敗・防御率1.99。防御率1点台は、メジャー全体でクエトとアダム・ウェインライト(ピッツバーグ・パイレーツ)のふたりだけです。6月終了時のデータを見ると、シンカーを合計412球投げて、打たれたヒットはわずか12本。そのうちシングルヒットが8本で、ホームランは1本も打たれていません。クエトの大カムバック劇は、今年の前半戦を代表する出来事のひとつと言えるでしょう。

 そしてもうひとり、オークランド・アスレチックスに所属するショーン・ドゥーリトルという左腕クローザーの活躍も見逃せません。彼は現在27歳なのですが、その経歴は少し変わっています。2007年、ドゥーリトルは一塁手としてアスレチックスに入団してきました。ところがひざの手術によって野手を断念し、2011年から投手にポジションを変更したのです。そして2012年にメジャーデビューを果たし、昨年までは主に中継ぎとして活躍。しかし、昨年オフにボルチモア・オリオールズから獲得した2年連続セーブ王のジム・ジョンソンが不調に陥ったことで、急きょ、ドゥーリトルがクローザーに抜擢されたのです。

 昨年までのドゥーリトルは防御率3点台の、いわゆる並の中継ぎでした。しかしクローザーに転向すると、武器であるフォーシームのストレートが想像以上に威力を発揮し始めたのです。6月末時点で39イニング3分の2を投げて、奪った三振57個に対し、与えたフォアボールは2個だけ。奪三振とフォアボールの比率の素晴らしさについて、ボストン・レッドソックスの上原浩治投手がよく取り上げられますが、今年6月末での上原投手は奪三振48個に対してフォアボール5個。上原投手も素晴らしい成績なのですが、ドゥーリトルの数字がいかに突出しているかが分かると思います。

 前半戦を振り返っただけで、こんなにも多くの驚きがありました。シーズン後半戦は、どんな新たな衝撃が待っているのでしょうか。今回ピックアップした選手はオールスターにも出場する可能性が高いので、ぜひチェックしてみてください。

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