驚異の奪三振率。ヤンキースに「リベラ2世」現る!

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 身長2メートル3センチ、体重118キロのベタンセスが意識して体の前でボールをリリースすれば、打者にとってこれほど厄介なことはない。そこにスライダーのような球速で軌道はナックルカーブのように大きく曲がり落ちて来る。攻略するのが簡単でないことは、容易に想像がつく。

 ここまでベタンセスの奪三振率は15.52。リベラが1996年に記録した10.09を大きく上回る。まだシーズン途中だとはいえ、この奪三振率の高さこそ「リベラの再来」と周囲が期待する大きな理由である。

 ベタンセスはヤンキースタジアムのお膝元、マンハッタンのワシントンハイツで生まれた生粋のヤンキースファン。両親はドミニカ共和国からの移民であり、父のジェイミーはボクサーの経歴を持つ。ブルックリンの高校を卒業後、2006年にドラフト8巡目(全体254位)でヤンキースから指名を受けた。当時、8巡目の指名としては最高額となる100万ドル(約1億200万円)で契約するなど、期待の大きさがうかがえる。ブライアン・キャッシュマンGMも「ベタンセスはチームの屋台骨を支える素材」と期待する。

「メジャーで1年間投げたこともないし、まだまだ勉強することがいっぱい。とにかく、1試合1試合を必死に投げていくだけ」(ベタンセス)

 ベタンセスはチームメイトの田中将大と同様、新人王の資格を持つ。オールスターに選出される可能性も十分にあるだろう。威力十分の"スラーブ"に注目していきたい。

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