三十路ピッチャーが敏腕アスレチックスGMの手でついに開花 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by Getty Images

 リチャーズは1988年5月27日生まれの25歳。ヤンキースの田中投手と同い年です。4月27日のヤンキース戦では敵地ヤンキースタジアムのマウンドに立ち、田中投手と先発で投げ合って互角のピッチングを演じました(リチャーズは7回2失点、田中は6回3分の1を2失点で、ともに勝ち星つかず)。現在西地区で2位をキープしているエンゼルスは、若いリチャーズの勢いに乗っかっているという印象です。今後、どこまで勝ち星を伸ばしていくのか、1988年生まれの新星に注目してください。

 そして今シーズンは、ナ・リーグからも新たな無名選手が台頭してきました。東地区のマイアミ・マーリンズに所属するトム・コーラーという27歳の右投手です。コーラーはヤンキースタジアムのあるニューヨーク・ブロンクス出身で、2012年にメジャーデビューを果たしました。ただ、昨年はメジャーに定着したものの5勝10敗・防御率4.41と、並の投手レベルの成績しか残せませんでした。

 しかし今シーズン、コーラーは開幕直後から大ブレイクします。最初の7試合の先発で防御率1.99、WHIP0.99(※)をマーク。5月17日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦でも7イニングを無失点・7奪三振という好投で、4勝目をマークしました。

※WHIP=被安打数と与四球数(予死球は含まない)を投球回数で割った数値で、1イニングあたり何人の走者を出したかを表す。WHIP1.00未満なら球界を代表する投手と言われている。

 残念ながら先日、昨年新人王に輝いた21歳の若きエース、キューバ出身のホセ・フェルナンデスがひじの故障で今シーズン絶望となりました。マーリンズにとっては非常にショックな出来事ですが、今後はさらにコーラーに頼るケースが増えてくるでしょう。最下位と予想されていたマーリンズが東地区で2位、勝率5割以上をマークしているのは、まさしくコーラーのおかげです。150キロ以上のストレートで押しまくる攻撃的なピッチングに、今後も期待したいと思います。

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