このままでは終わらない。田中将大にリベンジ誓うメジャー打者の恐怖 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 吉井氏と同じく現役時代は日米で活躍し、ワールドチャンピオンにも輝いたことのある田口壮氏もメジャー打者の技術の高さについて次のように語る。

「ヒットゾーンがすごく広いですね。おそらく田中は『こんなところまで届くんだ』と思っているんじゃないでしょうか。日本ではアウトコースいっぱいの球も、メジャーではちょうど手が伸びきる絶好の球になってしまう。かといってインコースを突いてもうまく捌かれてしまう。左右の揺さぶりだけで勝負するのは難しいと思います。ただ、田中の場合はスプリットという特殊な球があるので通用していますが、それを見極められた時にどうなるのか......ですよね」

 また田口氏は、メジャー打者の特徴をこう説明してくれた。

「スイングスピードも速いし、パワーもあるし、技術もある。さらに言うと、低めのボール球の見極めがうまい。今は田中のスプリットのキレがいいので打者は手を出していますが、もう少し慣れてくると見極めて手を出さなくなる可能性があります。それに田中自身、どこまで今のキレを維持できるかということも問題になってくると思います。初めての中4日での登板間隔や気候の変化。これから先は体力勝負の部分も出てきます。その時に今のボールを投げられるかですね」

 吉井氏も続く。

「心配なのは下半身です。メジャーの硬いマウンドで投げ続けると、どうしても下半身への負担が大きくなる。今は体全体を使って投げることができていますが、下半身を使えなくなると腕だけで投げてしまうのでキレがなくなってしまいます。スプリットのような球はしっかり腕を振ってこそ効果のあるボールですので、それができなくなると厳しくなるかもしれないですね。いずれにしても、本当の勝負はこれからだと思います」

 体力勝負のメジャーリーグ。だが、吉井が言う「本当の勝負」にはもうひとつ理由がある。それがメジャー各打者の調子の上げ方だという。

「メジャーの選手は9月~10月に最高の状態になるように調整してきます。4月よりも5月、5月よりも6月と徐々に調子を上げてくる。春先は抑えられていた球も、夏場になると打たれてしまう。それに対して田中がどう対応してくるか見ものです。ア・リーグ東地区にはいいバッターが多いですしね」

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