ア・リーグ新人王争い。田中将大のライバルはコイツだ! (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 そしてもうひとりのピッチャーは、レイズに所属するジェイク・オドリッジという24歳の右投手です。オドリッジはアマチュア時代から「超高校級」と騒がれていたピッチャーで、高校3年生のときにはなんと14勝0敗・防御率0.10という驚異的な数字をマークしました。89イニング3分の2を投げて、わずか自責点1。146個の三振を奪ったのに対してフォアボールは6個と、まさに飛び抜けた逸材なのです。

 しかし、プロ入り後は思うように結果を残せない日々が続きました。2008年のドラフト1巡目全体32位でミルウォーキー・ブルワーズに入団しましたが、2010年オフにザック・グレインキー(現ロサンゼルス・ドジャース)が絡んだ4対2のトレードでロイヤルズに移籍。2012年9月にメジャーデビューを果たすものの、2試合の登板で0勝1敗・防御率4.91と、満足のいく結果を残せませんでした。さらに2012年オフ、ロイヤルズがジェームズ・シールズを獲得するため、今度はレイズに移籍することになったのです。そして2013年は7試合のうち4試合に先発しましたが、0勝1敗・防御率3.94という結果に終わりました。

 そんな不遇の道を歩んでいたオドリッジですが、今オフ、ついに転機が訪れます。チームメイトのアレックス・カッブからチェンジアップを教えてもらうと、面白いように相手打者を打ち取れるようになったのです。その結果、ジョー・マドン監督はオドリッジを先発5番手に大抜擢。そして4月4日、テキサス・レンジャーズ戦に今季初登板したオドリッジは6イニング3安打無失点と好投を見せ、ついにメジャー初勝利を挙げました。デビッド・プライス、マット・ムーア、ジェレミー・ヘリクソンと、次から次へとマイナーから若い先発投手を生み出すのがレイズの歴史です。今シーズンはオドリッジが大ブレイクしそうな予感がします。

 一方、バッターでア・リーグの新人王争いに絡んできそうなルーキーを紹介しましょう。まずは、ヤンキースの宿敵レッドソックスに所属するザンダー・ボガーツという21歳の遊撃手です。ボガーツはカリブ海に浮かぶオランダ領アルバという島の出身で、2009年に当時16歳でレッドソックスに入団しました。そして2013年はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のオランダ代表に選ばれ、同年8月20日に20歳でメジャーデビュー。レギュラーシーズンは18試合に出場し、打率.250・1本塁打・5打点という成績でした。しかしポストシーズンで、ボガーツはいきなりの大ブレイク。12試合に出場して出塁率.412・長打率.481と、軒並み高い数字をマークして大物の片鱗を示したのです。しかも、21歳17日でのポストシーズン先発出場は、ベーブ・ルースの21歳246日を上回る球団最年少記録。レッドソックスの世界一に大きく貢献し、一躍、話題のルーキーとなったのです。

 そして今シーズン、ボガーツは開幕からレギュラー遊撃手の座を射止めました。21歳181日の若さで開幕ショートに選ばれたのは、1914年のエベレット・スコット(21歳146日)に次いでチーム100年ぶりの快挙です。最もレギュラーになるのが難しいと言われるショートのポジションに抜擢されたことは、まさに画期的な出来事といえるでしょう。

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