今季メジャーをかき回す「サプライズチーム」はこの2球団! (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by Getty Images

 まず攻撃面では、青木選手とインファンテの「1・2番コンビ」が誕生したことで、3番には成長著しいエリック・ホズマー(打率.302・17本塁打・79打点)、4番には2012年にオールスターにも選ばれたビリー・バトラー(打率.289・15本塁打・82打点)、そして5番には強打好守を誇るアレックス・ゴードン(打率.265・20本塁打・81打点)と、パワーのある中軸が完成しました。

※本文中、カッコ内の数字は昨シーズンの成績

 一方、守備面は、3人のゴールドグラブ賞選手(キャッチャーのペレス、ファーストのホズマー、レフトのゴードン)だけが秀でているのではありません。ショートのアルシデス・エスコバーと、センターのロレンゾ・ケインも、昨年ゴールドグラブ賞の最終候補に残ったほどの実力者です。そんな人材豊富な布陣に、広い守備範囲を誇るライトの青木選手と、堅実な守りに定評のあるセカンドのインファンテが加わりました。今やロイヤルズの守備力は、メジャー屈指と言えるでしょう。

 今年のロイヤルズは、実に魅力的な選手が多いです。その中でも特に注目したいのは、「不動の3番バッター」に成長しつつあるエリック・ホズマーでしょう。昨シーズン前半、ホズマーはストレートに対して打率.239しか残せず、いまいちパッとしませんでした。しかし6月、ロイヤルズ史上最大のスターであり、現在は球団副社長を務めるジョージ・ブレットが打撃コーチ代行に就任し、ホズマーのバッティングスタイルを変えると、たちまち大ブレイクを果たしたのです。特にストレートに対しての成績が打率.368と急上昇。ブレットのアドバイスによって素質を開花させたホズマーは要チェックです。

 24歳のホズマーを筆頭に、次々と若手が台頭している今年のロイヤルズは、中地区で4連覇を目指すタイガースの最大のライバルとなるでしょう。一昨年まではタイガースにまったく歯が立ちませんでしたが、昨シーズンは9勝10敗と、ほぼ五分の戦いを演じました。今シーズンのア・リーグ中地区は、近年になかった地区優勝争いになると思います。ロイヤルズには、明るい未来が待っています。

 そしてもうひとつ、サプライズを起こしそうなチームは、ア・リーグ西地区のシアトル・マリナーズです。マリナーズもロイヤルズ同様、近年はずっと低迷していました。2001年、イチロー選手が入団した年にメジャータイ記録となるシーズン116勝を挙げて地区優勝を果たしましたが、それ以来、プレイオフの舞台から遠ざかっています。ここ10年間の成績も、地区最下位が7度。観客動員数も激減し、苦戦を強いられているのが現状です

 そんな状況を打破するため、マリナーズは今オフ、ニューヨーク・ヤンキースからFAとなったロビンソン・カノを獲得しました。メジャー史上4番目の高額契約となる10年総額2億4000万ドル(約244億8000万円)で招き入れたのです。もちろん、カノひとりの加入だけで急激に勝てるほど、メジャーは甘くありません。マリナーズをイチオシしている理由は、他にも注目すべきポイントがあるのです。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る