「生きる伝説」デレク・ジーターのラストシーズンを見逃すな! (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 ジーターの決死のプレイにより、ヤンキースは13回にサヨナラ勝利。ちなみに翌日、ジーターは何事もなかったかのうように球場にやってきてスタメン出場しました。まさに、ジーターのプレイスタイルを象徴するシーンだと思います。ジーターはバッターボックスで内角攻めされることが多く、デッドボールの数もケタ違いなのですが、デッドボールで欠場した試合は過去に2試合ほどしかありません。どんなに負傷しても必ずグラウンドに戻ってくる雄姿が、ファンのハートを鷲づかみにしてきたのでしょう。

 そんな偉大な名キャプテン、ジーターがいよいよ最後のシーズンに挑みます。個人的に注目したいのは、通算安打数をどこまで伸ばせるかでしょう。現在、ジーターは歴代9位の3316安打。あと3安打で歴代8位のポール・モリター(3319安打/元ミルウォーキー・ブルワーズなど/1978年~1998年)、あと103安打で歴代7位のカール・ヤストレムスキー(3419安打/元ボストン・レッドソックス/1961年~1983年)、あと114安打で歴代6位のホーナス・ワグナー(3430安打/元ピッツバーグ・パイレーツなど/1897年~1917年)に並びます。歴代5位のトリス・スピーカー(3515安打/元ボストン・レッドソックスなど/1907年~1928年)を抜くのは厳しいと思いますが、歴代6位までなら十分に射程距離です。もし、歴代6位のワグナーを抜くと、右バッターとしては歴代3位のハンク・アーロン(3771安打/元アトランタ・ブレーブスなど/1954年~1976年)に次ぐ史上2番目の通算安打数となります。

 また、ヤンキースの球団記録も、ラストシーズンで更新する可能性があります。二塁打をあと9つ放てば歴代1位のゲーリッグ(534二塁打)に、さらにあと83得点加えれば歴代1位のルース(1959得点)に並びます。メジャー史を次々と塗り替えていくジーターをリアルタイムで追いかけられるなんて、どれほど幸せなことでしょう。そして、最後はワールドチャンピオンで締めくくってもらいたいです。何よりもチームの勝利を求めるジーターだからこそ、ラストシーンは世界一がふさわしい。頂点を掴み取った瞬間、イチロー選手や黒田博樹選手、そして新しく加わった田中将大選手と喜びを分かち合うシーンが見られれば最高です。将来、間違いなく野球殿堂入りする「生きる伝説」デレク・ジーターの最後の雄姿を、しっかりと目に焼き付けたいと思います。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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