ダルビッシュ有vs.田中将大。「夢の直接対決」の見どころは? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 ヤンキース打線の特徴は、パワーに加えて選球眼が良い点です。パワーヒッターが揃っているので三振が多いと思いきや、実は違います。一流のバッターはボール球に手を出しません。よってダルビッシュ投手は、ストライクを先行させることが大事でしょう。また、ダルビッシュ投手は昨年、奪三振王に輝きましたが、投球数を抑えて長いイニングを投げるためにも、ヤンキース戦は無理に三振を狙いに行かないほうが賢明だと思います。得意のツーシームとスライダーを武器に、相手のバットの芯を外して打ち取るピッチングがベストではないでしょうか。

 ともあれ、球数が多くなって5回あたりで降板してしまうという展開だけは避けてほしいものです。特にランナーを背負ったときは要注意。ヤンキース打線には、かつて盗塁王に輝いた選手が4人もいるからです。ジャコビー・エルズベリー(2008年、2009年、2013年)、ブレット・ガードナー(2011年)、アルフォンソ・ソリアーノ(2002年)、そしてイチロー選手(2001年)。特にイチロー選手は、一番警戒すべきバッターです。過去2年間の対戦で、イチロー選手はダルビッシュ投手に対して打率.412(17打数7安打)、三振わずか1個と、好成績を残しています。相性の良くないイチロー選手に対して、ダルビッシュ投手がどんなピッチングをするかも注目ポイントでしょう。

 一方の田中投手はレンジャーズ打線に対し、なによりホームランによる一発を警戒しなければなりません。2011年、2012年とレンジャーズは200本以上の本塁打数を記録しており、一発攻勢が得意なチームだからです。さらに、8年連続25本塁打以上を記録しているプリンス・フィルダー(前デトロイト・タイガース)が加わったことで、エイドリアン・ベルトレとの「脅威の3番・4番コンビ」が誕生しました。テキサスのグローブライフパーク・イン・アーリントンも、ニューヨークのヤンキースタジアムも、ライト方向へのホームランが出やすい球場です。左のパワーヒッターであるフィルダーや、昨年30本塁打のベルトレの前にランナーを出すことだけは避けたほうがいいと思います。

 そのためにも重要となるのは、1番バッターの秋信守を出塁させないことでしょう。昨年のシンシナティ・レッズでは、ナ・リーグ2位の出塁率(.423)とフォアボール数(112個)を記録しました。スピードのある秋信守をランナーに出すと、フィルダーとベルトレが後ろに控えているので、1本の長打で失点する恐れがあります。田中投手は低めにボールを集めるのが上手なので、スプリッターを織り交ぜながら打ち取るピッチングが理想的でしょう。また、田中投手はメジャー1年目なので、どのチームも対戦データがありません。いくら事前に研究していても、生きたボールを目の前で見ないと田中投手のすごさは分からないものです。初めての対戦はバッターよりもピッチャーのほうが有利に働きますので、そのメリットを生かしてレンジャーズ打線を翻弄できればベストでしょう。

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