移籍は大成功?新天地を選んだ大物メジャーリーガーたち

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 今オフも多くの選手が新天地を求めて移籍し、新しいユニフォームで新シーズンを迎えました。2月末からは各地でオープン戦がスタートし、移籍した大物選手たちは早くもその実力をファンに披露しています。ニューヨーク・ヤンキースからシアトル・マリナーズに移籍したロビンソン・カノはオープン戦の初戦でヒットを放ち、いきなり存在感を示しました。

名門ヤンキースから低迷するマリナーズに移籍したロビンソン・カノ名門ヤンキースから低迷するマリナーズに移籍したロビンソン・カノ 昨年12月、ヤンキースの主軸を担っていた二塁手のカノがマリナーズと契約したというニュースは、今オフ最大の衝撃でした。しかも、メジャー史上4位となる10年総額2億4000万ドル(約244億8000万円)の高額契約です。過去5年間、名門ヤンキースで平均打率.314、28本塁打・102打点と抜群に安定した成績を残していたカノが、まさか低迷するマリナーズと契約するとは思いもしませんでした。ただ、カノが移籍したのは、提示された契約が高額だったからではないようです。マリナーズの入団会見でカノは、「この移籍は未来を見据えたもの。ワールドシリーズで勝って学んだことを、マリナーズに還元する」とコメント。次なる目標は、マリナーズを世界一の座に導くことだと語っています。

 今シーズン、いきなりマリナーズがワールドチャンピオンに輝く可能性は低いでしょう。ただ、カノは契約した10年の歳月をかけて、世界一に導くことができると確信しているようです。メジャーリーグ30球団の中で、一度もワールドシリーズに出場したことのない球団は、ワシントン・ナショナルズ(前身はモントリオール・エクスポズ)とマリナーズの2チームだけ。現在31歳のカノは、残りの野球人生をマリナーズに捧げようとしています。

 過去、幾人ものスター選手がマリナーズで活躍しつつも、チームをワールドシリーズまで導くことができず、他球団へと移籍していきました。ランディ・ジョンソン(1998年→ヒューストン・アストロズ)、ケン・グリフィー・ジュニア(2000年→シンシナティ・レッズ)、アレックス・ロドリゲス(2001年→テキサス・レンジャーズ)、そしてイチロー選手(2012年→ニューヨーク・ヤンキース)......。ところが今回は、あの名門ヤンキースからスター選手がやってきたのです。このようなケースは、今後、移籍の新しい流れになるかもしれません。奇しくも今年1月には、NFLのシアトル・シーホークスが初めてスーパーボウルを制して頂点を掴みました。シアトルの街にMLBのチャンピオントロフィーをもたらすことができるのか、カノの新天地での挑戦は始まったばかりです。

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