日本人メジャーリーガー誕生50年。先人たちの軌跡を振り返る (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by Getty Images

 次に、日本人メジャーリーガー50人の投打の通算成績を見てみましょう。これまで計36人の日本人投手が積み重ねてきた勝利数は653勝で、セーブ数は415セーブ。勝利数の上位5人は、野茂英雄投手の123勝、黒田博樹投手の68勝、松坂大輔投手の53勝、大家友和投手の51勝、長谷川滋利投手の45勝となります。一方、セーブ数の上位5人は、佐々木主浩投手の129セーブ、斉藤隆投手の84セーブ、大塚昌則投手の39セーブ、上原浩治投手の35セーブ、長谷川滋利投手の33セーブです。やはり、野茂投手と佐々木投手の成績は群を抜いています。先日、両者が45歳という若さで日本の野球殿堂入りを果たしたのも納得です。

 対する日本人打者の通算成績を見てみると、安打は7672本で、本塁打は532本。安打数の上位5人は、イチロー選手の2742本、松井秀喜選手の1253本、松井稼頭央選手の615本、福留孝介選手の498本、井口資仁選手の494本で、本塁打数の上位5人は、松井秀喜選手の175本、イチロー選手の111本、城島健司選手の48本、井口資仁選手の44本、福留孝介選手の42本となります。

 こうして見ると、投手は100勝・100セーブ、打者は1000安打・100本塁打がひとつの大台だと思います。これをクリアした4人(野茂、佐々木、イチロー、松井秀)はメジャーリーグで大成功を収めた日本人選手と言えるでしょう。

 さて、2014年シーズン、我々日本人にとって次なる楽しみといえば、やはり「新たなタイトル」の獲得です。新人王や奪三振王など、これまで日本人選手はいくつかのメジャータイトルを獲ってきましたが、まだ獲得していないものも多く残されています。まず投手では、サイ・ヤング賞でしょう。昨年はサイ・ヤング賞投票でダルビッシュ有投手が2位、岩隈久志投手が3位と、ふたりの日本人選手が上位に食い込みました。あと一歩まで迫りましたので、2014年シーズンは非常に期待しています。いまだ日本人投手が獲得したことのない最多勝や防御率のタイトルを奪取できれば、サイ・ヤング賞受賞の可能性も十分あるでしょう。

 一方の打者は、イチロー選手がシーズンMVPを筆頭に、首位打者や盗塁王など数多くの主要タイトルを獲得しています。ただ、日本人選手がいまだ獲得していない本塁打王や打点王のタイトルは、正直、かなり困難な壁でしょう。メジャーの並居るパワーヒッターに対抗するだけの長打力を誇る日本人選手は、そう簡単に現れそうもありません。そういう意味で、松井秀喜選手は本当にすごいスラッガーでした。特筆すべきは、2009年に松井秀喜選手が記録したOPS.912という数字です。OPSは出塁率と長打率を足した値ですが、これが9割を超えると一流スラッガーと言われています。もちろん、OPSで9割を超した日本人選手は、松井秀喜選手ただひとり。改めて彼の存在は、別格だったと思います。

 今年は日本人メジャーリーガーが誕生して51年目のシーズンとなります。今後、日本人選手はメジャー史にどんな足跡を残していくのでしょうか。海を渡って戦う「サムライ」たちから目が離せません。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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