日本人メジャーリーガーたちの「2013年名場面」ベスト10 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

9位 メッツに移籍した松坂大輔、復活の兆し

 松坂大輔投手の2013年は、クリーブランド・インディアンスのマイナーからスタートしました。6年間在籍したボストン・レッドソックスを退団し、新天地での再出発を決意しましたが、メジャー昇格の声はかからず......。8月20日に契約を解除し、2日後にニューヨーク・メッツとメジャー契約しました。

 その決断が、結果的に良い方向に出たと思います。最初の先発3試合は0勝3敗・防御率10.95と苦戦したものの、その後は見違えるようなピッチングを披露。4試合で3勝0敗・防御率1.37をマークし、復活の手ごたえを掴んだのです。

 今年一番の快投を演じたのは、9月25日のシンシナティ・レッズ戦です。7イニング3分の2を投げて、4安打無失点。優勝争いをしていた強豪レッズを相手に、圧巻のピッチングを見せたのです。本拠地シティ・フィールドでの力投は、メッツファンを大いに喜ばせました。現在はフリーエージェントの立場ですが、今後に期待の持てる結果を残したので、2014年の松坂投手が楽しみです。

8位 アメリカ全土で愛された川﨑宗則

 かつて、これほど愛されたキャラはいなかったのではないでしょうか。5月26日、トロント・ブルージェイズの本拠地ロジャース・センターで行なわれたボルチモア・オリオールズ戦。9番・ショートで出場した川﨑宗則選手は、9回に逆転サヨナラ二塁打を放ってその日の主役となりました。すると、試合後のヒーローインタビューで川﨑選手は、「アイム・ジャパニーズ!」と絶叫。その爆笑を誘った映像はアメリカ全土で大きな話題となり、メジャーリーグ公式ホームページでのファン投票において、ベスト面白映像賞を受賞しました。

 地元トロントでの川﨑選手の人気は絶大です。その明るいキャラクターも稀有ですが、その理由は野球に対する姿勢でしょう。マイナーで開幕を迎え、メジャーに昇格するも、すぐに再びマイナーに降格......。並みの選手なら心が折れます。しかし、川﨑選手はそこから這い上がり、メジャーで再び輝きを放ったのです。絶対にくじけないハート、負けない気持ち、そして全力でプレイする姿がファンの心を掴んだのだと思います。本当に野球、メジャーリーグが好きなんでしょうね。その情熱の深さは、野球選手の鑑(かがみ)です。

7位 影のMVPと称された不動の1番・青木宣親

 2014年からカンザスシティ・ロイヤルズの一員となる青木宣親選手ですが、2013年のミルウォーキー・ブルワーズでの活躍は特筆すべきものでした。155試合に出場して出塁率.356、そして20盗塁と、不動の一番バッターとして大暴れ。さらに、球団記録となる72打席連続無三振を樹立するなど、三振率5.9パーセントはメジャートップの数字でした。また、リーグ6位のデッドボール11個を記録するも、ほとんど休むことなく元気にプレイ。その結果、ブルワーズの球団関係者による投票で「チームの陰のMVP」に選ばれたのです。

 シーズン171安打は、ナ・リーグ10位タイ。外野手部門では、185安打のアンドリュー・マカッチェン(ピッツバーグ・パイレーツ)、178安打のハンター・ペンス(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に次ぐナ・リーグ3位の記録です。2013年は両リーグともにシーズン200本安打が生まれませんでした。それだけ「投高打低」の傾向が強かったシーズンだったのですが、そんな中での青木選手の171安打は、非常に価値があると思います。まさに、全盛期のイチロー選手を彷彿とさせる安打製造機ぶりでした。

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