ワールドシリーズ開幕。勝敗を分けるポイントはココだ!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 今シーズン、レッドソックスはリーグ3位の盗塁数(123個)を記録し、ポストシーズンでも10試合で11個の盗塁を決めるなど、予想外の機動力野球を披露しています。今季盗塁王(52個)に輝いた1番のジャコビー・エルズベリーをはじめ、2番のシェーン・ビクトリーノ(21盗塁)、3番のダスティン・ペドロイア(17盗塁)と、これまでの伝統になかったスピード野球を最大のウリとしているのです。

 本来、機動力野球をウリにしていたのは、カージナルスのほうでした。1930年代、グラウンドを走り回ってユニフォームを泥だらけにし、その姿から「ガスハウス・ギャング(工場労働者の意)」の異名で一時代を牽引。1980年代もシーズン300盗塁以上を記録するなど、機動力野球こそカージナルスの伝統だったのです。しかし今シーズンの盗塁数は、ナ・リーグで最も少ない45個。つまり、対戦相手のエルズベリーひとり分の盗塁より少ないのです。

 しかしその代わり、今シーズンのカージナルスは勝負強いバッティングで数々の接戦をモノにしてきました。リーグ1位の得点数(783得点)を叩き出し、レギュラーシーズンに残した得点圏打率.330という数字は驚異的。またカージナルスは、シーズン終盤から欠場していた4番のアレン・クレイグがワールドシリーズ前に復帰できそうです。リーグ1位の得点圏打率.454という脅威のクラッチヒッターの復活は、カージナルス攻撃陣をさらに勢いづけることでしょう。

 今回の対決は、過去3回とはまるで違う戦いになりそうな予感です。両チームの攻撃スタイルが入れ替わったことで、新たな名シーンが生まれるのではないでしょうか。個人的に注目しているのは、「盗塁を仕掛けてくるレッドソックスに対し、カージナルスの捕手ヤディアー・モリーナがいかにして食い止めるか?」です。ナ・リーグで5年連続ゴールデングラブ賞に輝き、今シーズンもリーグ2位の盗塁阻止率.435を誇るモリーナを相手に、レッドソックスの機動力が通用するのか否か……。レッドソックスの攻撃がカージナルスの守備を上回ったとき、上原投手の見せ場はグッと多くなることでしょう。果たして、4度目の対決を制するのはレッドソックスか、それともカージナルスか。最後の一瞬まで目が離せません。

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