田口壮・吉井理人・与田剛が斬る、MLBプレイオフの行方

  • 島村誠也、スポルティーバ●構成 text by Shimamura Seiya、Sportiva
  • photo by Getty Images

◎与田剛氏「スター選手不在も総合力のアスレチックに注目!」

 短期決戦を戦う上で重要なのは投手力であることは間違いありません。先発が揃っているドジャース、タイガース、抑えがいいレッドソックス、ブレーブスが有利なのは確かでしょう。ただ、投手力同様に注目すべきなのが、守備力と走力です。バッティングは相手ピッチャーの出来もあるし、正直、計算できませんが、守備力と走力は計算できる。

 特にポストシーズンのような試合では、普通のプレイをいかにできるかが大事になります。ひとつの失策や走塁で流れが変わるというのを何度も見てきました。例えば、二死二塁からヒットを打ったのに、ホームまで還れなかった。シーズンでは何気ないプレイかもしれませんが、こういった大舞台になるととんでもないビッグプレイになる。そういった意味で注目しているのが、アスレチックスです。顔ぶれを見ても、スター選手がいないので一見地味に映るかもしれませんが、どの選手も足が速く、バッティングも2割8分前後の打者が揃っている。派手さはないかもしれませんが、普通に勝っていくような気がします。

 タイガースやレッドソックは確かによく打ちます。ただ、走塁を含めた野球ができるか。ヒットが続いても、ランナーが各駅停車じゃちょっと厳しいですよね。そういうことも踏まえて、僕はアスレチックスを推したいですね。

 一方、ナ・リーグはドジャースとカージナルスの戦いになるような気がします。ドジャースは勢いだけでなく、投手陣・野手陣ともに戦力が揃っています。投手戦にも、打撃戦にも対応できる強さがあります。

 そのドジャースの対抗になるのがカージナルス。このチームは、名将ラルーサ監督の時代から野球が一貫しています。カージナルスの野球というのを確立していて、戦いにブレがない。どんな相手が来ても、しっかり自分たちの戦いができるのは大きな強みです。でも、今年に限っていえば、そのカージナルスの野球をドジャースが吹き飛ばしそうな気がします。7月を20勝5敗、8月を22勝7敗で勝ち切ったように、最も勢いのあるチームだと思います。

 ということで私の予想は、ア・リーグがアスレチックス、ナ・リーグがドジャース。2013年のワールドシリーズは西海岸の2チームになると予想します。

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