7・28松井秀喜引退セレモニー。「1日契約」というメジャーの伝統

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

ピンストライプのユニフォーム姿の松井秀喜がヤンキースタジアムに帰ってくるピンストライプのユニフォーム姿の松井秀喜がヤンキースタジアムに帰ってくる 7月28日(日本時間29日)、昨年オフにユニフォームを脱いだ松井秀喜氏の引退セレモニーが、ニューヨーク・ヤンキースの本拠地ヤンキースタジアムで行なわれます。ヤンキースは松井氏と「1日契約」を結び、チームの一員としての花道を用意しました。メジャーリーグには、チームに貢献した元選手と1日だけ契約して、過去の栄光を讃えるという素晴らしい文化があります。そこで今回は、過去のさまざまな「1日契約」について紹介したいと思います。

「1日契約」の歴史を振り返ると、1965年までさかのぼります。当時カンザスシティ(現オークランド)・アスレチックスがサチェル・ペイジというニグロリーグ出身の偉大な投手と1日契約を結び、1試合だけ先発させたのが始まりでした。そして、メジャー史上最年長の59歳で登板したペイジは、3イニングを投げて無失点で抑えたという記録が残っています。

 さらに1980年、シカゴ・ホワイトソックスが当時54歳のミニー・ミノーソというニグロリーグ出身のフィールドプレイヤーと1日契約を交わしたという記録もあります。ミノーソは1950年代にホワイトソックスの主力として活躍し、1951年から1953年まで3年連続して盗塁王に輝いた名選手。1949年にメジャーデビューしたミノーソは、1980年の1日契約で打席に立ったことで、5つの年代(1940年代、1950年代、1960年代、1970年代、1980年代)でプレイした史上初の「ファイブデケイド・プレイヤー」となりました。

 近年では2008年、ヤンキースがコメディアンのビリー・クリスタルと1日契約を交わし、オープン戦で1試合出場させた話も有名でしょう。この1日契約は、大のヤンキースファンであるクリスタルの60回目の誕生日を祝うため、球団が発案した粋な計らいでした。クリスタルに渡されたピンストライプのユニフォームの背番号は、年齢と同じ『60』。ピッツバーグ・パイレーツ戦に1番DHで出場したクリスタルは、試合後、「人生で最高の出来事だった」と語っていました。

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