ア・リーグ東地区が今、「スゴいこと」になっている! (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 ところがその後、アスレチックスは急に蘇(よみがえ)ったのです。26試合で21勝5敗を記録し、ついに首位の座をレンジャーズから奪い取りました。昨年の7月1日から今年の7月1日まで、シーズンをまたいで計161試合あったのですが、アスレチックスの成績はなんと101勝60敗。これは、メジャー30球団中1位の勝率です。驚異的なペースで勝っているアスレチックスの強さは本物と言えるでしょう。スター選手は不在ですが、優勝を本命視されているレンジャーズや、覇権奪還を狙うエンゼルスの戦力に決して劣っていません。

 ア・リーグ西地区のシーズン前半、レンジャーズ(51勝37敗/西地区2位)は予想通りの活躍を見せているものの、エンゼルス(43勝45敗/西地区3位)は昨年同様、今年もスタートダッシュに失敗しました。振り返れば2002年に初めてワールドシリーズを制したときも、開幕から6勝14敗というスタートでした。前半戦のエンゼルスは、いつも成績が芳(かんば)しくありません。マイク・トラウト、アルバート・プホルス、そしてジョシュ・ハミルトン……。エンゼルス打線はリーグ屈指の破壊力を持っています。しかし、ナ・リーグ時代に「最も三冠王に近い男」と言われていたプホルスは現在、打率.247・13本塁打・51打点と、いまやミゲル・カブレラ(打率.368・28本塁打・90打点/デトロイト・タイガース)の影に隠れてしまって寂しい限り。そして今年、鳴り物入りで移籍してきたハミルトンは、打率.230・12本塁打・34打点と、本来の実力を発揮できていません。「メジャー不動の3番バッター」と言われた男が、2番や7番を打っているのです。この両者の不調ぶりも、シーズン前半戦を振り返る上で特筆すべき出来事でしょう。

 今年のシーズン前半戦は、オリオールズやアスレチックスの快進撃で、予測できない展開となりました。オールスターゲームが終われば、各地区とも一気に優勝争いのムードが高まります。はたして後半戦は、どんな波乱が待っているのでしょうか。非常に楽しみです。

※現地7月7日現在

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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