ア・リーグ東地区が今、「スゴいこと」になっている!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

オリオールズの強力打線を牽引するアダム・ジョーンズ(左)、クリス・デイビス(中央)、マニー・マチャド(右)オリオールズの強力打線を牽引するアダム・ジョーンズ(左)、クリス・デイビス(中央)、マニー・マチャド(右)【2013年メジャーリーグ前半戦総括@ア・リーグ編】

 2013年のメジャーリーグ前半戦、ア・リーグ東地区が面白いことになっています。開幕して3ヵ月が経った7月1日時点で、1位のボストン・レッドソックスから5位のトロント・ブルージェイズまで、東地区に所属する5チームすべてが勝率5割以上をキープしていたのです(現在はブルージェイズのみ借金2)。過去の歴史を振り返ると、地区最下位のチームの勝率が5割ジャストだった例は、いくつかあります。近年では1991年、当時地区7チーム制だったア・リーグ西地区で最下位のカリフォルニア(現ロサンゼルス)・エンゼルスが、そして2005年、ナ・リーグ東地区で最下位のワシントン・ナショナルズが、どちらも勝率5割ジャストでシーズンを終えました。ただ、同じ地区に所属する全チームが貯金のある形(5割を超えた形)でレギュラーシーズンを終了した例は、長いメジャーの歴史で一度もありません。もし今年、ア・リーグ東地区の5チームがそれを達成すれば、史上初の出来事となります。

【ア・リーグ東地区】 ※7月7日現在
1位 ボストン・レッドソックス(54勝36敗)
2位 ボルチモア・オリオールズ(49勝40敗)
2位 タンパベイ・レイズ(49勝40敗)
4位 ニューヨーク・ヤンキース(48勝40敗)
5位 トロント・ブルージェイズ(43勝45敗)

 もともとア・リーグ東地区は、昔から「最大の激戦区」と呼ばれていました。かつてはニューヨーク・ヤンキースとレッドソックスの「2強」でしたが、2000年代後半、タンパベイ・レイズの台頭によって「3強」時代へ。そこに近年、ブルージェイズが加わり、2008年と2010年には、5チーム中4チームが貯金のある形でシーズンを終えています。そのとき唯一、負け越していたのがボルチモア・オリオールズですが、かつての古豪も昨年、ついに長い低迷から脱出。14年連続負け越し記録をストップさせて、プレイオフ進出を果たしました。今年のア・リーグ東地区は、どのチームが優勝してもおかしくありません。非常にハイレベルな戦いを演じています。

 特に現在2位タイのオリオールズは、この東地区5チームの中で一番の衝撃でしょう。昨年はプレイオフに進出したとはいえ、今年の戦力を見てみると、先発投手陣の駒不足は否めませんでした。実際、シーズンが開幕すると、エース不在の台所事情が露呈し、先発投手の防御率4.35はア・リーグ12位と低迷。また、リーグで最もホームランを打たれており、先発投手が7イニング以上投げた試合もリーグで最も少ないという状況なのです。本来なら、最下位を走っていても不思議ではありません。しかし、このような数字にもかかわらず、オリオールズは首位のレッドソックスに次ぐ2位タイの座をキープしているのです。

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