好調アスレチックス。中島裕之に出番は巡ってくるか? (3ページ目)

  • 佐藤直子●文 text by Sato Naoko
  • photo by Getty Images

 だが、皮肉なことに、この危機管理対策のあおりを受けてしまったのが、現在は傘下3Aサクラメントにいる中島だ。「正遊撃手」の確約をもらいながらも、キャンプ終盤で左太もも裏を負傷。中島の抜けた穴をラウリーが埋め、攻守ともに期待以上の貢献(76試合出場、打率.306)をしている。二塁を守るエリック・ソガード、内野控えのアダム・ロサレスも遊撃を守れるため、チームは危機を乗り切ってしまった。

 それでは、中島にメジャー昇格のチャンスは巡ってこないのか? チームの好調が続く現状では、前述の3内野手と三塁ジョシュ・ドナルドソンのいずれかがケガをした時が最も可能性が高い。誰かのケガ待ちとは、縁起でもない話だが、群雄割拠の実力社会では、それもまた致し方ない話だ。

 チーム事情も影響している。ラウリー、ロサレス、ドナルドソンは、球団が無条件でマイナー降格できるオプションという権利がない。そのため、マイナー降格させたい場合は、戦力外通告としてウエーバーに掛けなければならない。ウエーバーに掛ければ、他球団が獲得意思を示すだろう。つまり、他球団に渡したくなければ、メジャー25人枠から外せない。

 ケガ待ち以外の昇格の道は、オプションを持つソガードの成績不振だが、正二塁手の今、目も当てられない成績にならない限り、マイナー行きはないだろう。さらに、3Aには中島と同じく、昇格のチャンスをうかがうジャーマイル・ウィークスとグラント・グリーンという内野手がいることも付け加えておこう。

 3Aでは、二塁と三塁も守り、汎用性を身につけ始めた中島は、打撃成績も上向いてきた(38試合、打率.278、4本塁打)。メジャー昇格のチャンスは、いつ何時訪れるか分からない。今はただ、できる限りの努力をしながら、その時を待つしかない。

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