米ドラフト指名から初の日本人メジャーリーガーへ。加藤豪将の素顔 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 さて、選手としての資質だが、加藤は野球選手の父、バレーボール選手の母のスポーツ一家に生まれた。血筋は純日本人だが、加藤はアメリカで生まれ、アメリカで育った。そのせいか、彼のプレイぶりは日本の18歳の選手とは一線を画す。

 ヤンキーススカウトが、「抜群のハンド・アイ・コーディネーション(※)を持ち、パワーも兼ね備えている」と絶賛したバッティング。ノーステップ打法からセンターを中心に打ち分ける技術の高さは、ルーキーリーグでの成績を見れば一目瞭然だ。

(※)目で察知したことを手で表現できる、目と手の連動力のこと

 そして加藤の一番の魅力が、軽快なフットワークと華麗なフィールディングの内野守備。身長188cmの大型内野手としてセカンドまたはショートのポジションを争う彼は、日本人的な細かなフットワークというより、中南米の選手を彷彿(ほうふつ)させるストライドの大きさを持ち、サイドからのクイックスローは日本人とは思えない柔軟性を備えている。また、グラブ捌きはアメリカの全国紙『USA TODAY』が「猫の手のように素早い」と評したほどだ。

 まだ18歳。高校出身の選手がメジャーリーグの頂点までたどり着く可能性は10%にも満たない。無限の可能性は秘めているものの、その道のりは決して平坦ではないだろう。しかし、そうしたアメリカの野球の厳しさを加藤に問うと、彼は再び笑顔でこう語った。

「覚悟はしています。野球が大好きなので、毎日同じ気持ちでグラウンドに立てたらいいと思っています」

 これまでメジャーのドラフトに指名された日本人はいたが、メジャーまで上り詰めた選手はひとりもいない。そして今、加藤はこれまで誰も達成できなかった大きな夢に向かってスタートを切った。

「どんな時も野球を楽しみたい」――初心を忘れず、道を切り拓(ひら)いてほしい。

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