今年のオールスターゲームは新参者が主役となる!? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
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 第2回中間発表でブラウンは、ナ・リーグ外野手部門で4位に躍り出ました。1位のB.J.アップトン(アトランタ・ブレーブス)、2位のブライス・ハーパー(ナショナルズ)、3位のカルロス・ベルトラン(セントルイス・カージナルス)に次ぐ順位ですが、急激に票を伸ばしています。上位との票数は僅差なので、トップに躍り出る可能性も十分にあるでしょう。

 そしてもうひとりの注目選手、ポール・ゴールドシュミットについても紹介しましょう。ゴールドシュミットは大学時代からパワーヒッターとして名を馳せ、2009年のドラフト8巡目でダイヤモンドバックスに入団した25歳の一塁手です。2009年、2010年と2年連続でマイナーの本塁打王に輝き、2011年8月にメジャーへ昇格。そして昨年、レギュラーに定着して145試合に出場しました。ただ、その一方で130個もの三振を喫するなど、荒いバッティングが目立っていました。

 ところが今年のゴールドシュミットは、ボールを見極めてフォアボールで出塁しようという姿勢に変わったのです。打席で落ち着くようになったことで、三振数が減少。その結果、成績も軒並み向上し、5月には打率.376・7本塁打・23打点をマークしました。その後も好調をキープし、6月上旬には満塁ホームラン2本を含む、球団新記録の8試合連続打点を記録しています。

 現在、ゴールドシュミットの成績は打率.313・15本塁打・59打点。特にナ・リーグトップの59打点は、特筆に値する数字です。彼の活躍により、チームは昨年ワールドチャンピオンのサンフランシスコ・ジャイアンツを抑えてナ・リーグ西地区の首位を走り、ゴールドシュミットは早くも「今年のMVP候補」と言われています。第2回中間発表では、ナ・リーグ一塁手部門で2位。1位のジョーイ・ボット(シンシナティ・レッズ)に次ぐ順位に食い込んでいます。たとえファン投票で1位になれなくても、監督推薦で初選出されるのではないでしょうか。

 もし、ア・リーグからダルビッシュ有投手(テキサス・レンジャーズ)や岩隈久志投手(シアトル・マリナーズ)がオールスターに選出されることになれば、セグラやブラウン、そしてゴールドシュミットとの対決が見られるかもしれません。今年はどんなオールスターゲームになるのか、今後もファン投票の行方から目が離せません。

※6月13日現在

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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