今年のオールスターゲームは新参者が主役となる!? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 そして今回の中間発表でランキング上位に食い込んできた、さらなるニューカマーを2名挙げたいと思います。それは、フィラデルフィア・フィリーズのドモニク・ブラウン(25歳・左投左打)と、アリゾナ・ダイヤモンドバックスのポール・ゴールドシュミット(25歳・右投右打)という選手です。

 ジョージア州アトランタで育ったブラウンは、高校時代から優秀なアスリートとして有名でした。アメリカンフットボールのワイドレシーバーとしても活躍し、アメフトの選手として名門マイアミ大に進学する予定だったほどです。しかし、2006年のドラフト20巡目でフィリーズに指名されると、契約金20万ドル(当時約2360万円)でメジャーリーガーの道を選びました。

 プロ入り当初はマイナーで伸び悩むものの、2008年オフ、ブラウンはハワイのウインターリーグで打率.386の高打率を残して首位打者を獲得。これが転機となって、2009年にはフィリーズの「ナンバー1プロスペクト(最も期待される若手選手)」として高い評価を受けるようになりました。そして2010年7月、ついにメジャーデビュー。しかしその後、何度も降格するなどメジャー定着に至らず、期待に応えることはできませんでした。

 それが今年、ブラウンの才能が一気に開花します。開幕から最初の21試合は打率.209・2本塁打・8打点と出遅れたものの、4月27日以降、とんでもないペースで打ちまくっているのです。39試合で打率.320・17本塁打・39打点をマークし、5月下旬には2週連続でナ・リーグ週間MVPとなり、5月の月間MVPにも輝きました。現在、ブラウンはフィリーズの5番に定着。4番には2006年に58本塁打を打ってナ・リーグMVPに輝いたライアン・ハワードがいるのですが、彼の存在が霞むほどの活躍を見せています。

 ブラウンが突如ブレイクした理由は、今年から打撃コーチ補佐に就任したウォーリー・ジョイナーの存在が大きいでしょう。ジョイナーというコーチは、1980年代に当時カリフォルニア・エンゼルスの人気スターとして活躍した元メジャーリーガーです。偶然にもジョイナーとブラウンはジョージア州の同じ高校出身で、先輩・後輩の間柄。ジョイナーがブラウンのバットの握りを微調整したことで、急激に成績が伸びたと言われています。かつてジョイナーは、「メジャーで最高に美しいスイングの持ち主」と称されていました。それを真似たブラウンのスイングは、ニューヨーク・メッツ時代に一世を風靡したダリル・ストロベリーを彷彿とさせます。左打席に立ち、196センチの長身から繰り出される目にも止まらぬスイングは、まさにストロベリーのイメージとピッタリです。

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