松坂大輔へ、元チームメイトから送られたエール

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by AFLO

 だが、現状は健康を取り戻すことができず、苦しんでいる。そんな折、レッドソックス時代に松坂とともに先発三本柱の一角を担い、ゴルフ仲間でもあったジョン・レスターが松坂のことを気にかけていた。

「ダイスケはどうしている?」

 ひと通り現状をレスターに説明すると、彼はある程度の情報を把握していた。そして「頑張ってくれと伝えてくれ」と言われるのが関の山と思っていたが、彼は違った。

「僕も長い間、投げることができなかった時期があった。健康でないということほど、辛いものはない。でも、『健康さえ取り戻せば』と思えたのも事実だ」

 2006年6月にメジャーデビューを果たしたレスターは、ローテーション投手となり2カ月で7勝を挙げたが、8月下旬に血液のガンが見つかり闘病生活に入った。ガンは抗がん剤治療で緩解(かんかい)したが、副作用で体重が激減。復帰までに多くの時間を要し、相当の苦労を強いられた。だからこそ、レスターは今の松坂の気持ちがわかるのだろう。彼の言葉は続いた。

「おそらくヒジの状態もまだ安定していないのだろう。野球選手ならば、体のあちこちが痛いもんさ(笑)。ダイスケに伝えてくれ。暖かくなれば、体の調子も良くなってくる。気候は重要だ。6月になればさらに暖かくなる。同時に体も動くようになる。慌てることはないさ」

 レスターがメジャーのマウンドに復帰したのは2007年7月23日。ガンと闘い、健康を取り戻し、レッドソックスのエースにまで上り詰めたレスター。今シーズンも4月だけで4勝を挙げ、ガンから復活して通算89勝を積み上げているレスターの言葉には説得力があった。

 とにかく、松坂には万全の状態で投げられることに全力を傾けてほしい。そうすれば、結果はおのずと見えてくるはずだから。

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