野茂英雄以来の衝撃?ニューヨーク・メッツから「超豪腕」現る

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 ハービーの武器は、最速98マイル(時速約157キロ)のストレートと、切れ味抜群のスライダーです。昨シーズンは10試合に登板して3勝5敗・防御率2.73という成績でしたが、三振の山を築く豪腕ぶりに驚いた野球関係者は、新シーズンに大きな期待を寄せました。

 そして迎えた2013年。ハービーはまたも、周囲の度肝を抜く快投を見せてくれたのです。まず、メッツの本拠地シティフィールドで行なわれた開幕2戦目のサンディエゴ・パドレス戦に先発し、7イニング1安打無失点10奪三振。さらに、4月8日のフィラデルフィア・フィリーズ戦を7イニング3安打1失点、4月13日のミネソタ・ツインズ戦を8イニング2安打1失点と、3試合連続で相手を「7イニング以上・3安打以下」に抑えたのでした。その後、4月19日のワシントン・ナショナルズ戦も7イニング4安打1失点で開幕4連勝を達成。開幕から4連勝して合計10安打に抑えたのは、1900年以降の近代野球では初の出来事です。また、昨年終盤の先発登板から数えると、ナショナルズ戦まで「6先発連続1失点以下」という快挙を演じたのです。

 4月のハービーの成績は4勝0敗。防御率1.56はナ・リーグ3位、46奪三振はリーグ4位タイ、そして被打率.156はリークトップという素晴らしい数字です。その結果、ハービーは4月のナ・リーグ月間最優秀投手に輝きました。しかもデビュー以来、16試合の先発で奪った合計116個の三振は、「ドクターK」ことドワイト・グッデン、そしてノーラン・ライアンに次ぐ球団史上3番目に多い奪三振数です。アメリカでは今、偉大なメッツの先輩グッデンや野茂英雄投手(当時ロサンゼルス・ドジャース)のデビュー時以来の衝撃だと騒がれています。

 もちろん、久々の大物出現に地元ニューヨークは大盛り上がりです。このままの調子でいけば、メッツ本拠地シティフィールドで行なわれる今年のオールスターゲームの先発登板も十分にあるでしょう。今後もどんな豪腕ぶりを披露してくれるのか、非常に楽しみなニューカマーです。

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