ダルビッシュ&黒田&岩隈。狙うは過去最多43勝以上! (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 2008年、広島の黒田博樹投手がドジャースに、そして2009年には巨人の上原浩治投手がボルチモア・オリオールズ、中日の川上憲伸投手がアトランタ・ブレーブスに入団。球界のエースが続々とメジャーにやってきたのです。ただそれでも、2002年を上回るような成績は残せませんでした。2009年、4人のエース(松坂、黒田、上原、川上)が揃うものの、松坂投手は2008年の18勝から4勝へと大きく成績を落とし、黒田投手は8勝、そして川上投手も7勝と、思うように勝ち星を伸ばせませんでした。また、上原投手はケガの影響でわずか2勝に止まり、その後リリーフに転向。日本のエース4人が開幕から先発ローテーション入りしたものの、誰もふたケタ勝利を挙げることはできませんでした。

 しかしながら2012年、ダルビッシュ投手のメジャー挑戦で、またも流れは変わりつつあります。ダルビッシュ投手がメジャー1年目で16勝を挙げ、新人日本人投手として最多勝利数を記録。そしてヤンキース移籍1年目の黒田投手が自己最多の16勝をマークしました。1シーズンで15勝以上の投手がふたりも誕生したのは、初めてのことです。さらに岩隈久志投手も、シーズン前半はリリーフに回されたものの、7月以降、先発ローテーションに入ると9勝をマーク。フルシーズンで先発だったなら15勝ぐらい挙げていたでしょう。そのような良い流れを経て、2013年、新しいシーズンを迎えることになりました。

 今シーズン、彼らは開幕から素晴らしいスタートを切っています。しかも、3人とも「先発2番手」という地位を獲得し、開幕2試合目の先発投手に指名されました。ダルビッシュ投手は実質的にエース扱いですし、黒田投手と岩隈投手も、CC・サバシア(ヤンキース)やフェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)というメジャー最高の大エースに次ぐポジション。他のチームならエースと呼ばれてもおかしくないでしょう。

 過去の歴史を振り返ると、ふたケタ勝利の先発トリオが誕生したのは、1999年と2002年の2回だけ。そしてトリオが挙げた合計勝利数の過去最高は、2002年の43勝です(野茂=16勝、石井=14勝、大家=13勝)。今シーズンのダルビッシュ投手、黒田投手、岩隈投手の投球を見ていると、それを上回ることは十分可能だと思います。11年ぶりとなる「ふたケタ勝利投手トリオ」の誕生なるか、そして3人で「合計43勝以上」を挙げることができるのか――。彼ら3人の今後のピッチングにぜひ注目してください。

※4月29日現在

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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