【MLB】愛すべき救世主・川﨑宗則が再びメジャーにたどり着くまで (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Reuters/AFLO

「愛すべき救世主」――それが川﨑宗則なのである。

 とはいえ、昨季マリナーズから契約を解除された後、川﨑獲得に動いたメジャー球団はなかった。メジャーのキャンプが始まってからも色よいオファーはなく、珍しく弱気になった時もあった。

「やっぱり、みんながキャンプ地に行っても僕だけなかなか合流できない。早く決まればいいな、早く行きたいなと思って、ずっと福岡で練習をしていました。すごく焦りもありました」

 それでも気持ちだけは切れることはなかった。「僕がやりたいことにこだわりだい」と、再びメジャーでプレイすることを目標にしていた。その川﨑にようやくチャンスが訪れたのは3月中旬。ブルージェイズからのマイナー契約を受け入れ、フロリダのキャンプ地に合流したのは3月18日のことだった。

「燃えに燃えています。12月でもゲームに出られる状態だったので、調整なんていらない。とにかく自分のやれることをやるだけ」

 ブルージェイズからすれば、ケガ人が出た時のバックアップ要因に過ぎなかったが、開幕早々に正遊撃手のホセ・レイエスが左足首を捻挫。全治3カ月のケガを負うのだから、野球とは何が起こるかわからない。そしてこのチャンスをものにしたのが川﨑なのだ。

 ギボンズ監督は、「相手が右投手の時は1番で起用する」と明言し、4月13日の昇格以降。全試合スタメンで出場を続けている。川﨑は「どこでやろうが自分の仕事をやるだけ。しっかり準備して、毎日グランドで大いに発散するだけ」と変わらぬ決意を口にし、最後に出身地・鹿児島の方言で気合いを入れ直した。

「チェスト!」(さー、行くぞ!)

 再びたどり着いたメジャーの地。川﨑宗則の奮闘を期待したい。

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