【WBC】ヒントは日本と韓国。悲願の初制覇へ、アメリカが最重要視したもの (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • Photo by Mike Ehrmann/Getty Images

 そして先発以上に実力者を揃えたのが、プルペンの10人だ。右投手が7人、左投手が3人の構成だが、全投手が昨シーズン60試合に登板しており、しかもチームの勝利の方程式を担った人材ばかり。

 左の3人はいずれもセットアッパーで、ジュレミー・アフェルト(ジャイアンツ)は左打者にめっぽう強く、ワンポイントでの起用が考えられる。グレン・パーキンス(ツインズ)とティム・コリンズ(ロイヤルズ)は高い奪三振率を誇り、昨シーズンは1イニング平均でパーキンスが1.10、コリンズが1.33の三振を奪った。

 右のブルペンはさらに強力だ。1メートル98センチの長身を誇るスティーブ・シシェック(マーリンズ)は、95マイル(約152キロ)と曲がりの大きいスライダーを武器とし、昨シーズン15セーブを挙げた。パドレスのルーク・グレガーソンはコントロールとスライダーの切れ味が抜群。さらにインディアンスからも、チームでは8回の男を務めるビニー・ペスタノと守護神のクリス・ペレスが、代表ではセットアップに回る。

 そしてアメリカ代表のクローザーを務めるのが、昨シーズン42セーブを挙げナ・リーグのセーブ王に輝いたクレイグ・キンブレル(ブレーブス)。62回2/3を投げて奪った三振は116個。その投球を支えるのが、100マイル(約160キロ)近いストレートと曲がりの鋭いスライダーだ。今回、アメリカ代表が揃えた投手陣からはどんな強力打線であっても、大量得点は見込めない。短期決戦を勝ち抜くために、トーリ監督が本気で集めた磐石の投手陣なのだ。

 一方、自慢の攻撃陣は、昨シーズン41本塁打を放ち、ナ・リーグの本塁打王を獲得したライアン・ブラウン(ブルワーズ)、首位打者3回のジョー・マウアー(ツインズ)、オールスター6回出場のデービット・ライト(メッツ)が中軸を担い、成長著しいアダム・ジョーンズ(オリオールズ)、俊足のジミー・ロリンズ(フィリーズ)らが、彼らの前後に控える。

 初戦のメキシコ戦は8安打、2得点に抑えられたが、以後3試合は2ケタ安打を記録するなど、期待通りの実力を発揮。大会序盤こそ苦しんだが、それが逆にチームを結束させる大きな要因となった。マウアーは言う。

「大会の序盤に苦しんだ分、勝利への気持ちが強まった」

 2次ラウンド初戦でプエルトリコを7-1と下したアメリカ。悲願の初制覇に向け、ようやくエンジンがかかりはじめた。

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