【WBC】ヒントは日本と韓国。
悲願の初制覇へ、アメリカが最重要視したもの

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • Photo by Mike Ehrmann/Getty Images

2次ラウンド初戦のプエルトリコ戦で好投したジオ・ゴンザレス2次ラウンド初戦のプエルトリコ戦で好投したジオ・ゴンザレス 1次ラウンド初戦のメキシコ戦で、昨シーズンのサイ・ヤング賞右腕、R.A.ディッキー(ブルージェイズ)が打ち込まれ、まさかの敗戦スタートとなったアメリカ。その後もイタリア、カナダの格下相手に苦戦するなど、「本当に大丈夫なのか?」と実力を不安視する声が上がっている。だが、大会前からアメリカ代表の評判は高く、今回こそ優勝するのではないかと大きな期待を集めているのも事実だ。

 第1回大会(2006年)は2次ラウンドで敗退、第2回大会(2009年)は準決勝で日本に敗れた。第1回から全員がバリバリのメジャーリーガーだが、今回は過去2大会とは少し違う選手選考を行なった。

 ヒントは過去2大会で結果を残した日本、韓国にあった。両国の選手たちは「国のため、チームのために戦う」ことを誇りに感じ、代表に選ばれた責任を果たそうと懸命にプレイした。それがチームの強さとなり、好結果を生む要因になった。

 だが対照的に、これまでアメリカ代表の選手たちはWBCを「この時期はあくまでもオープン戦。レギュラーシーズンへの調整期間」として捉えていた。それは彼らが大会を終え、自チームのキャンプに合流した際の言葉を聞けば明らかだった。

「この時期に全力でプレイできるものじゃない。シーズンに影響するよ」

 しかし、今回は違う。ジョー・トーリ監督をはじめとする首脳陣は、選手に出場の意思を確認し、参加を希望した選手の中から選考を行なった。そうして集められた28人は、ビッグネームこそ少ないが、いま旬を迎えている選手たちばかり。ちなみにポジションの内訳は、投手15人、捕手3人、内野手6人、外野手4人となっている。なかでも各国にとって脅威となるのは投手陣だ。

 先発陣は先述のディッキーが右のエースになる。左のエースは21勝をあげたジオ・ゴンザレス(ナショナルズ)。昨シーズン、ディッキーは233回を投げ230奪三振、ゴンザレスが199回1/3で207三振。ともに三振奪取率が高い。このふたりに続くのが、昨年のワールドシリーズでの好投が記憶に新しい元阪神のライアン・ボーグルソン(ジャイアンツ)。昨季の成績は13勝9敗、防御率3.37。そして、この3投手のバックアップとして、昨季10勝のロス・デトワイラー(ナショナルズ)と13勝のデレク・ホランド(レンジャーズ)の両左腕が控える。ふたりはロングリリーフを務めることもあるだろう。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る