【WBC】「史上最強」の呼び声高いドミニカ打線に気をつけろ! (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 前回、優勝候補に挙げられたドミニカはなぜ、オランダに敗れたのか。試合では相手の小刻みな継投に屈したものの、前述のクルス記者が裏事情を明かす。

「ドミニカ人の多くは高レベルの教育を受けていないから、責任感が欠けているんだ。前回の代表チームには、規律がなさすぎた。実は、敗戦の裏にはこんなスキャンダルがあった。オランダ戦の前日、ふたりの投手とひとりの内野手が監督の許可なく宿舎を抜け出した。当時の監督は、ドミニカで『野球の神様』と言われるフェリペ・アルー。その監督の許可なしにパーティーへ繰り出し、一晩明かしてまったく寝ずにチームへ戻ってきた。その後、オランダに国辱の敗戦を喫したんだよ!」

 忌々(いまいま)しい記憶は、選手の脳裏にも刻み込まれている。前回大会に続いて出場するカノは、開幕前の練習試合でヤンキースを破った後、WBCの公式サイトでこう話した。

「開幕が待ち切れないよ。我々には前回の嫌な気持ちが残っているからね。決戦の場へ行き、自分たちの仕事をし、前回やり残したことをするつもりだ」

 WBC史上最強打線を擁し、国民から厚い期待を寄せられる今回のドミニカ代表。悲願の優勝を達成できるかは、前回の反省を忘れず、最後まで規律を持って戦えるかが最大のポイントだ。彼らが心身ともに万全の状態で決勝ラウンドまで勝ち進んできたとき、侍ジャパンの投手陣は史上最大の難敵を迎えることになる。

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