【MLB】イチロー初体験。ヤンキースのキャンプ地とは? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

『ザ・ボス』のウリは、フロリダのキャンプ地の中で最大規模となる約1万1000人もの観客を収容できる点です。また、本拠地ヤンキースタジアムのグラウンドと同じサイズで作っている点も大きな特徴でしょう。レフトまで318フィート(約97メートル)、センターまで408フィート(約124メートル)、ライトまで314フィート(約96メートル)。そして左中間が深くなっているところも、ファウルグラウンドの広さも、ヤンキースタジアムとまったく同じに再現しているのです。さらに、『ザ・ボス』の広場正面には、今は亡きスタインブレナーの銅像が建っており、その側にはヤンキースの永久欠番のオブジェがずらりと飾られています。これもヤンキースタジアムのセンター後方にある、有名な『モニュメントパーク』と一緒です。いたるところにヤンキースタジアムの雰囲気を漂わせている点が、非常に素晴らしいと感じました。

 そして、ヤンキースのキャンプ地が他と明らかに違う点は、タンパという町の規模です。キャンプ地の目と鼻の先にはNFLタンパベイ・バッカニアーズの本拠地『レイモンド・ジェームス・スタジアム』が建っており、タンパ湾を挟んだ対岸にはタンパベイ・レイズの本拠地『トロピカーナ・フィールド』と、NHLタンパベイ・ライトニングのホームアリーナ『タンパベイ・タイムズ・フォーラム』があります。このように、3つのメジャープロスポーツがフランチャイズを置いている時点で、いかに巨大な都市か分かるでしょう。

 また、キャンプ地の周囲には有名な遊園地やナイトスポットがあり、クルマで1時間半ほど走ればウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートもあります。キャンプには家族を連れてくる選手も多いので、身内を呼んでも不自由させません。あらゆる環境の整っているタンパは、まさに『ベースボールキャンプ地の天国』ではないでしょうか。

 イチロー選手が昨年まで在籍したマリナーズのキャンプ地は、アリゾナ州フェニックスからクルマで1時間ほどの場所にありました。そのキャンプ地の周囲は球場以外、何もありません。イチロー選手はタンパに来て、改めて大きな環境の違いを感じているのではないでしょうか。イチロー選手が新天地でどのようにコンディションを仕上げてくるのか、開幕が待ち遠しいです。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る