【MLB】イチロー初体験。ヤンキースのキャンプ地とは? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そんなタンパに縁(ゆかり)のある人物の中で、最も忘れてはいけないのが、ヤンキースの前オーナー、ジョージ・スタインブレナーです。1930年にオハイオ州クリーブランドで生まれたスタインブレナーは、1970年代初頭に父親から船舶製造会社を受け継ぐと、その事業を拡大するためにタンパへとやってきました。すると、スタインブレナーはこの町を非常に気に入り、すぐさまタンパに自宅を移したのです。

 その後、スタインブレナーは1973年にヤンキースを買収。名物オーナーとして長年、チームのトップに君臨することになります。そんな折、1987年にレッズがタンパからのキャンプ地移転を決定しました。そこでスタインブレナーは、タンパにヤンキースのキャンプ地を作ろうと決意。当時、ヤンキースはフロリダ州フォートローダーデールにキャンプ地を構えていたのですが、タンパのグラウンドを全面的に改装し、1996年、念願のキャンプ地移転を果たしたのでした。

 このように、タンパとスタインブレナーは、切っても切れない関係です。ヤンキースタジアムにはいつもスタインブレナーがいたので、ニューヨーク在住と勘違いしている人も多いのではないでしょうか。しかし実は毎回、スタインブレナーはタンパからニューヨークに行って試合を観戦していたのです。2010年7月に死去したスタインブレナーは生前、「ニューヨークは第二の故郷。第一の故郷はタンパ」と語っていました。

 僕も、タンパのキャンプ地を何度も訪れたことがあります。敷地内にはメイン球場のほか、サブグラウンドが何面もあり、首脳陣らはゴルフカートで移動するほどの広さです。オープン当初、メイン球場は『レジェンド・フィールド』という名称でした。しかし2008年、スタインブレナーの病状が悪化した際に、『ジョージ・スタインブレナー・フィールド』へと変更されました。ただ、あまりにも名称が長いので、メイン球場はスタインブレナーと同じ愛称の『ザ・ボス』と呼ばれています。

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