【WBC】米ラウンドも開幕!現地メディアは大会をどう伝えているか (2ページ目)

  • 冷泉彰彦●文 text by Reizei Akihiko
  • photo by Getty Images

 そうとも言えない。福岡ラウンドの中継や、ダイジェスト版の放映、そしてMLBがAPなどの通信社と組んで流している情報を見ると、偽りのない「現在のWBCの抱える状況」が率直に語られているからだ。ある意味では「分かりにくい」WBCの位置づけについて、アメリカの野球ファンの理解を求めようという姿勢がそこにはある。

 その「率直な姿勢」を見ていると、今回大会の結果、大きな赤字が出たり、大会への批判が拡大したりするようなら別だが、このまま一気にWBCが「消えてゆく運命にある」というものでもないように思われる。

 では、アメリカにおいてWBCの「意味合い」はどのように理解されているのだろうか? 多少複雑になるが、5点ぐらい挙げられるだろう。

 第一は「放映権販売を中心としたMLBのマーケットの国際市場への拡大」という意味。第二には「世界各国の優秀な野球選手の発掘、MLB志望の各国選手のアピールの場」という意味があり、過去2回の大会ではNPBの選手にMLBのスカウトから熱い視線が注がれ、それがメジャー移籍につながっていったことは記憶に新しい。

 今年の第3回の特徴は、こうした動きに加えて、三点目として「中南米諸国出身の選手が母国の代表として存在感をアピールする場」という意味合いが強まり、さらには「MLBを自由契約になった選手が参加するトライアウト的な要素」という四点目の意味、そして五点目としては「ジャッジのビデオ判定、ストライクゾーン、トーナメント向けの特殊ルールなど、野球というスポーツの試行錯誤の場」という意味も加わってきている。

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