【WBC】これが大会を彩る最強スラッガー10人だ!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 一方、WBCで日本と対戦したことのない出場国からも、世界最高峰の強打者を紹介しましょう。まず、日本にとって馴染みのないカナダ代表で3番を務めるジョーイ・ボット(シンシナティ・レッズ)は、「メジャー最高の左バッター」といっても過言ではありません。アベレージやパワーはもちろんこと、何より抜群の選球眼を持っており、3年続けてナ・リーグの最高出塁率をマークしています。この記録は、かつて4年連続でリーグ最高となったバリー・ボンズに迫る出塁率です。またボットは、「メジャー屈指のクラッチヒッター」としても有名で、昨年は得点圏打率.370をマークするなどチャンスに滅法強く、それを高く評価したレッズは、2023年まで10年総額2億2500万ドル(約184億5000円)という超大型契約を結びました。WBCで日本と対戦する可能性は低いかもしれませんが、もし見る機会があったら、ぜひ世界最高峰のバッティングを堪能してください。

 また、日本はプエルトリコとも過去に対戦していませんが、今大会で実現すれば、35歳のカルロス・ベルトラン(セントルイス・カージナルス)に注目してください。スイッチヒッターとしてメジャー史上歴代7位となる通算334本塁打を誇り、大ベテランながら昨年もチーム最多の32本塁打・97打点と健在ぶりをアピール。大舞台に強いバッターとして定評があり、ヒューストン・アストロズ時代の2004年にはポストシーズン12試合で8本塁打、前回のWBCでも6試合に出場して打率.421をマークしました。間違いなく、今大会ナンバー1のスイッチヒッターでしょう。

 そして10人目最後のひとりは、メキシコ代表として第1回大会から出場しているエイドリアン・ゴンザレス(ロサンゼルス・ドジャース)です。サンディエゴ・パドレス時代は毎年のように30本塁打・100打点をマークし、2011年には7年総額1億5400万ドル(約129億円)でボストン・レッドソックスに移籍。ドジャース移籍後も得意の広角打法でタイムリーを連発するなど、世界トップレベルのバッティングを披露しています。国民的英雄としてメキシコ代表を牽引するA・ゴンザレスは、今大会も大いに活躍してくれるでしょう。

 メジャーリーガー10人をピックアップしてみると、いかにWBCがすごい大会なのか、改めて実感します。彼らがどんなプレイを見せてくれるのか、最強のバッターが競い合う「世界の球宴」を、ぜひ楽しんでください。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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