【MLB】日本人投手、2年目のジンクスはいかに?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 また、昨シーズンと比べるとメディアの数が減って、ダルビッシュ投手自身も「とてもやりやすい環境」と、リラックスしている模様です。今シーズン、エースとして開幕からフル回転し、200イニング以上投げることができれば、日本人投手初の『20勝』も十分に期待できるでしょう。『投球回数200イニング以上』はエースの証です。ぜひともダルビッシュ投手には、その大台を突破してもらいたいと思っています。

 一方、シアトル・マリナーズの岩隈久志投手も、メジャー2年目のシーズンとなります。昨シーズンは肩やひじの不安を理由に、1年150万ドル(約1億4000万円)という格安でマリナーズと契約しました。しかし、シーズン前半こそ不慣れなリリーフで苦労したものの、7月以降に先発ローテーション入りすると、16試合の先発登板で8勝4敗・防御率2.65と、非常に安定したピッチングを披露。シーズン後半には「コントロールアーティスト」と賞賛され、その結果、オフには2年1300万ドル(約12億1000万円)という高い評価で契約延長となりました。

 では、今シーズンのマリナーズの先発陣を見てみましょう。マリナーズはオフに、昨年まで先発2番手だったジェイソン・バルガスをトレードでロサンゼルス・エンゼルスに放出し、代わりにボルチモア・オリオールズからFAで左腕ジョー・ソーンダースを獲得しました。それにより今シーズンの先発陣は、筆頭がエースのフェリックス・ヘルナンデス、2番手がベテランのソーンダース、そして3番手が岩隈投手という布陣になると思います。

 ただ、岩隈投手には懸念材料もあります。それは、シーズンを通してメジャーでの先発経験がなく、昨シーズン、先発&リリーフを合わせて125イニング3分の1しか投げていない点です。さらに、今シーズンから本拠地セーフコフィールドの外野は狭くなり、ホームランが出やすくなる傾向に。それも、ロードよりホームの防御率が良かった岩隈投手にとって、不安材料と言われています(ロード=4.20点、ホーム=2.49点)。

 そんな背景もあってか、マリナーズは春季キャンプにメジャー通算132勝のジョン・ガーランドと、デトロイト・タイガース時代に4年連続でふた桁勝利を挙げたジェレミー・ボンダーマンを招いています。ともにメジャーを長く生き抜いているベテラン投手なので、岩隈投手の3番手というポジションは安泰とは言い切れません。しかし、昨シーズンの安定感と、持ち前のコントロールがあれば、問題なく先発ローテーション入りしてくれるでしょう。

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