【MLB】田澤純一「レッドソックスの育成メソッドのおかげで復活できた」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

―― 入団当時、レッドソックスを選んだ理由のひとつに、「育成がしっかりしているから」ということを挙げられていました。実際、レッドソックスの育成についてはどうでしたか?

「最初アメリカに来たときは2Aからのスタートだったのですが、そこは選手が成長するために何をすべきかを考え、試す場所でした。結果よりも内容を重視して、とにかく経験を積ませます。休みは月に1回ぐらいで、4月から9月頭ぐらいまでみっちり試合が組まれているため、野球以外に考えることがないぐらい野球漬けの日々を過ごしました。あと僕の場合は、登板した次の日は必ずミーティングがあって、『もうちょっと投げ方をこうした方がいいんじゃないか』とか『初球ストライクを取った方が抑える確率が高いよ』とか、いろんなことをこと細かく、丁寧に教えてくれました。基本的なことが多かったのですが、一回一回確認しながらやるので、自然と身についてきましたね。一方、3Aはメジャーに上がるための準備の場。例えば、先発投手なら中4日のローテーションで投げたり、リリーフならランナーを置いた状況でマウンドに上がったり、いろんな状況を想定しながらやります」

―― 登板回数や球数制限については?

「何イニングを投げたとか、何球投げたとかは非常に細かくチェックされます。特にマイナーの選手に関しては、登板過多にならないように細心の注意を払っています。あとは、肩周りの筋肉がしっかり付いているかも調べられます。十分に達していない場合は、登板回数が減ったり、球数を制限されたり。しっかり体ができるまでは、無理をさせないというのが基本方針です。その代わり、トレーニングに割く時間は多い。強化すべき箇所は選手それぞれですので、各自専門のプログラムが用意されます」

―― 松坂大輔投手などは、ブルペンで球数を制限されることに戸惑ったという話を聞きました。

「ブルペンで投げる分には制限はありますが、キャッチボールならいくらでもしていい。だから、足りないと思った時は、キャッチボールで強い球を投げるようにしていました。もともと、ブルペンではあまり多く投げるタイプではないので、そのことに関して戸惑うことはなかったです」

―― また、マイナーリーグは移動がきついと言われています。

「3Aまで上がってしまえば、バスでの移動は最長で7時間。それを超えるようだと、飛行機になったりするので、まだ楽ですよ。それにバスも2台あるので、ゆったりと座ることができる。ただし2Aは移動時間も長いし、バスも1台なので他の選手と一緒に座らないといけない。おまけに試合が終わってすぐに移動することも多く、体力的にキツかったです」

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