【MLB】アスレチックスが高い評価を下した、中島裕之のメンタリティー (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • アフロ●写真 photo by AFLO

 それだけではない。サードのジョシュ・ドナルドソンの今シーズンの成績は、75試合に出場して打率.241。セカンドのジェマイル・ウィークスにしても118試合の出場で.221。内野のレギュラー候補は、いずれも心許ない。あくまでも中島をショートとして獲得したが、セカンド、サードの守りも期待できる力量に加え、2年総額650万ドル(約5億2000万円)のレンジはアスレチックスにフィットした。

 中島の何に期待するかと訊かれたビーンGMは、真っ先に打撃力を挙げた。

「彼の打撃はメジャーに適応するスタイルだ。右方向にいい打球を飛ばせることが、それを証明している。走者を置いた場面で右方向に打ち返し、それが得点に結びついてくれれば何より嬉しいね」

 中島本人は「やれる自信はある」ときっぱり語ったが、「すべてが初めてのこと。体で感じながら、ありのままプレイしたい」と先入観なしで挑む決意を口にした。

 守備面において、日本人内野手の力量を危惧する声が圧倒的に多いのは、今も変わらない。だが、中島自身のこの言葉に大きな期待感を抱いた。

「僕はもともと内野手でなかった。プロ野球に入って、そこから"コツコツ"やってメジャーに来られるようになった。毎日練習しながらやって行きたい。(メジャーのショートのような)派手なプレイできるかどうかわからない。やってみたいとは思うが"きっちり"したプレイを常にやりたいです」

"コツコツ"と"きっちり"。この言葉に頷(うなず)くビーンGMの顔は満足げだった。決して背伸びをしない中島のメンタリティー。これも彼らが中島を高く評価する一面だと感じた。

 メジャーに適応するために、一歩ずつ着実に階段を上がっていこうとする中島の挑戦が楽しみだ。

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