【MLB】残留か移籍か。イチローが契約するのはどの球団?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 ジャイアンツに移籍すれば1番バッターとして常時出場できると思いますので、ヤンキースよりシーズン200本を達成する可能性も出てきます。個人的には通算11度目となるシーズン200本を達成して、ピート・ローズの記録を抜いてもらいたいです。1番バッターや外野手を探しているメッツも移籍候補先として挙がっていますが、ワールドチャンピオンの可能性を考えると、移籍するならジャイアンツだと思います。

 イチロー選手が今、チーム選びに関して何を最優先事項としているのかは分かりませんが、ファンとしてはやはり「世界一になるチャンスが大きいチーム」にいてほしいのではないでしょうか。たしかにヤンキースは毎年のように地区優勝していますので、来シーズンもプレイオフに進出する可能性は大でしょう。しかし2001年以降、ヤンキースが世界一になったのはたった1回だけ。2004年以降、ワールドシリーズの舞台に立ったのも1回だけなのです(松井秀喜がワールドシリーズMVPに輝いた2009年)。それに対し、近年強力な投手陣を擁するジャイアンツは、3年間で2度の世界一。どちらもすごいチームですが、ジャイアンツがヤンキースに劣っているとは言えないでしょう。

 人気面でもジャイアンツはヤンキースに負けていません。今年のホーム観客動員数は、フィリーズ、ヤンキース、そしてテキサス・レンジャーズに次いでメジャー4位の337万7371人を記録しました。また、座席の占有率を見ると、ヤンキースタジアムの87%に対し、AT&Tパークはなんと99.5%。毎試合、まったくと言っていいほど空席がありません。2010年10月1日以降、AT&Tパークは165試合連続でチケット完売を継続中なのです。ジャイアンツは強さ、人気ともに名門ヤンキースと争えるチームだと思います。

 最終的にイチロー選手は、どのチームを選ぶのでしょうか。ヤンキースに残留するのか、ジャイアンツの熱意が通じるのか、はたまた予想外のチームに電撃移籍するのか。イチロー選手の一挙手一投足から目が離せません。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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