【MLB】残留か移籍か。イチローが契約するのはどの球団?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 原因は下位打線に回されたり、スタメンを外されて打席数が減ったことに他なりません。毎試合1番バッターとして打席に立てば、イチロー選手の実力なら再びシーズン200安打を狙えるチャンスも出てきます。しかし、来年も同じような打席数なら、打率.365ぐらいをマークしないとシーズン200本まで届きません。さらにヤンキースでは、自らを犠牲にするバッティングも求められます。現在、イチロー選手のメジャー通算安打数は2606本。通算3000本まで残り394本ですが、常時出場して多くの打席に立たないと、より時間がかかってしまうでしょう。

 一方、ヤンキース以外でイチロー選手を狙っているのが、サンフランシスコ・ジャイアンツです。今シーズン途中もジャイアンツは、イチロー選手の移籍話が出たとき、真っ先に獲得に乗り出しました。現地アメリカでは、再度イチロー獲得に興味を持っていると報じられています。

 ジャイアンツは今年、2年ぶり7度目のワールドシリーズ制覇を成し遂げましたが、チーム状況を見てみると、外野陣が非常に手薄なのです。すでにふたりの外野手がFA登録しています。まずひとりは、今年のオールスターゲームでMVPに輝き、打率.346をマークしたメルキー・カブレラです。カブレラは薬物規定違反により8月15日から50試合の出場停止処分を受け、処分明けのポストシーズンでも出場登録されず、そのままシーズンを終えてしまいました。去就が注目されていたのですが、そんな矢先の11月19日、カブレラはトロント・ブルージェイズと2年総額1600万ドル(約13億1000万円)で契約したのです。

 そしてもうひとりのFAは、昨年オフにニューヨーク・メッツから移籍し、1番バッターとしてリーグ最多の15三塁打を記録するなど予想外の活躍を見せたアンヘル・パガンです。ジャイアンツは引き止めようとしているのですが、移籍する可能性が濃厚とのこと。そうなるとジャイアンツの外野手は、さらに手薄になります。

 今年の7月下旬にフィラデルフィア・フィリーズからトレードで獲得したハンター・ペンスも精彩を欠いており、カブレラの穴を埋めたグレゴール・ブランコという外野手も未知数な存在です。さらに、ジャイアンツの本拠地AT&Tパークはパワーよりもスピードを重視した球場なので、外野手に機動力が求められます。そういうことも踏まえると、パガンが抜ければイチロー選手をジャイアンツの新たな『不動の1番バッター』として迎え入れたいでしょう。

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