【MLB】藤川球児がアメリカで高い評価を受ける本当の理由 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 レンジャーズのセットアッパーとして、今シーズン上原は37試合に登板し、1セーブ、7ホールド、防御率1.75の好成績を挙げた。シーズン途中、1カ月ほど故障者リストに入ってしまうマイナス要素はあったが、WHIP(※1)は0.64。抜群の安定感を見せ、このオフはフリーエージェント(FA)市場で高い評価を得ている。再契約へ向けて熱心に交渉を続けるレンジャーズのほか、古巣のオリオールズも上原にラブコールを送り続けている。

 その上原の今季の年俸は400万ドル(約3億2000万円)。当然ながら、新しい契約ではこの金額を上回ることは間違いない。この上原への評価が、そのまま藤川のサンプルケースになっている。

 ストレートとフォークのコンビネーションを武器とするふたりだが、来季38歳を迎える上原に対し、藤川は33歳。ストレートの球速も90マイル平均の上原に対し、平均93マイルの藤川。メジャーで実績のない藤川だが、関係者たちは年齢、球速を判断材料に高い評価を下し、上原と同じような活躍を見込めると判断している。つまり、藤川への高評価は、上原がメジャーで築き上げてきた実績が大きく影響しているのだ。

 藤川は現在、米国に滞在してダイヤモンドバックス、エンゼルス、ドジャースなどの球団施設を訪れるなど、新しい移籍先を絞り込もうとしている。彼の判断に注目が集まるが、来季以降、あとに続く日本人投手のためにも、藤川には上原と同様か、それ以上の活躍を見せてほしい。


※1=WHIPとは被安打数と与四球数(与死球数は含まない)を投球回数で割った数値で、1イニングあたり何人の走者を出したかを表わす。一般に先発投手であれば1.00未満なら球界を代表するエースとされ、1.20未満ならエース級と言われている。

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