【MLB】2012年を振り返る・後編。45年ぶりの「三冠王」を生んだ電撃移籍 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

4位 デレク・ジーター、ホーナス・ワグナーに迫る

 今シーズン、38歳のデレク・ジーター(ヤンキース)が驚異的なペースでヒットを量産したことも、触れないわけにはいきません。開幕からバッティングが絶好調で、限界説を唱えた周囲の声を瞬(またた)く間に一掃しました。最も注目されたのは、ジーターが「38歳のショートストップとして打率.320以上残せるか?」という点でした。これを過去に成し遂げたのは、殿堂入りしているホーナス・ワグナー(当時パイレーツ)ただひとり。そんな偉大な記録に、ジーターは挑んだのです。

 前述したとおり、ワグナーは「メジャー史上最高のショートストップ」と言われています。そんな伝説のプレイヤーに迫る勢いだったので、アメリカではものすごい騒ぎになっていました。シーズン終了間近の9月26日時点で、ジーターの打率は.320。しかし、最後の7試合で数字を落としてしまいます。結果、ジーターは打率.316でシーズンを終了。ワグナーの大記録に並ぶことはできませんでした。

 それでも216安打をマークしたジーターは、自身8度目となるシーズン200安打達成です。38歳の遊撃手で200安打を達成したのは、史上初のこと。参考までに、過去、ポジションに関係なく38歳以上で『打率.320以上・200安打以上』を達成したのは、たったのふたりだけ。1979年のピート・ローズ(打率.331・208安打/当時フィラデルフィア・フィリーズで38歳/一塁手)と、1996年のポール・モリター(打率.341・225安打/当時ミネソタ・ツインズで40歳/DH)です。

 また、今シーズンを終えてジーターの通算安打数は3304本となり、殿堂入りの大スター9人をごぼう抜きして歴代10位となりました。活躍次第では、来シーズンにもベスト5入りするかもしれません(歴代5位は通算3515安打のトリス・スピーカー)。

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