【MLB】2012年を振り返る・前編。ベーブ・ルースの「怪記録」に肉薄? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

7位 クレイグ・キンブレル、史上最強のクローザーに

 レッズのアロルディス・チャップマンをはじめ、今年も豪腕ピッチャーたちがメジャーを沸かせてくれました。その中でも一番、圧倒的な存在感を見せつけたのが、アトランタ・ブレーブスのクレイブ・キンブレルです。今年、24歳の若き豪腕クローザーは、ナ・リーグ1位タイの42セーブを挙げて2年連続セーブ王に輝きました。

 なぜ、キンブレルに注目したかというと、対戦成績が驚異的だからです。今シーズン、述べ231人のバッターに対し、わずか27本しかヒットを打たれていません。被安打率.126は、メジャー史上最高記録です(投球回数1シーズン50イニング以上が対象)。また、OPS(出塁率+長打率)というデータが導入されて60年以上経ちますが、これもメジャー史上最高記録となる被OPS.358をマーク。今年、キンブレルが打たれた印象はまったくありませんでした。

 さらにキンブレルは231人のバッター相手に、メジャー史上初となる半数以上の116人から三振を奪っているのです。1試合平均16.7奪三振も、もちろんメジャー最高記録。日本ではチャップマンが何かと注目されましたが、キンブレルの衝撃度のほうが上だと思います。

6位 バーランダー&シャーザー、タイガースに奪三振コンビ誕生

 今年は、メジャーリーグに新しい奪三振コンビが誕生しました。デトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーと、マックス・シャーザーです。バーランダーがメジャートップの239奪三振で2年連続3度目の奪三振王に輝くと、同僚のシャーザーもメジャー2位の231奪三振を記録。メジャー全体の奪三振数1位・2位をチームメイト同士が独占したのは、1900年以降の近代野球で史上6組目のことです。

 最近では2003年、シカゴ・カブスのケリー・ウッド(266奪三振)とマーク・プライアー(245奪三振)以来。ア・リーグだと、1976年、当時カリフォルニア・エンゼルスのノーラン・ライアン(327奪三振)とフランク・タナナ(261奪三振)のコンビ以来となります。今年のプレイオフの快進撃は、彼らふたりの活躍なしにはあり得なかったはずです。来シーズンも、きっとコンビで奪三振ショーを披露してくれることでしょう。


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プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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