【MLB】ワールドシリーズを制するのは、タイガースか、ジャイアンツか? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 ただ、ジャイアンツの投手陣も、決して負けているわけではありません。崖っぷちに追い込まれたリーグチャンピオンシップシリーズ第5戦以降は、ナ・リーグ2位の得点力を誇るカージナルス打線相手に、3試合でわずか1失点。よって今年のワールドシリーズは、投手戦になるのではないでしょうか。

 そこで今回は、勝負のカギを握るかもしれない、ふたりのバッターを紹介したいと思います。まずタイガースは、「もうひとりのミゲル・カブレラ」と呼ばれている、アビサイル・ガルシアという21歳の外野手です。今年、45年ぶりの三冠王に輝いたカブレラと同じベネズエラ出身で、身長193センチ、体重108キロ、右投げ右打ちと、そっくりなことから「ミニ・ミギー(カブレラの愛称)」と言われています。

 今年の開幕時、ガルシアはタイガース傘下シングルAのレイクランドからスタートしました。しかしその後、ダブルAのエリーを経て、8月31日にメジャーデビュー。8月31日時点で25人のメンバーに入っていないとポストシーズンの出場資格がないので、まさにそのための昇格だったのでしょう。するとガルシアは、その期待に応えるように、23試合に出場して打率.319を記録。さらにポストシーズンでもタイムリーヒットを3本打つなど、勝負強さを発揮しています。

 ワールドシリーズでは、カブレラやプリンス・フィルダーら中軸打者が徹底的にマークされますので、ガルシアのような若手が『シリーズ男』となる可能性は十分にあります。2003年にフロリダ(現マイアミ)・マーリンズでデビューしたカブレラは、その年にワールドチャンピオンの一員となりました。同じようにガルシアも、デビュー年でチャンピオンリングを手にすることができるのでしょうか。

 一方、ジャイアンツのキーマンは36歳の大ベテラン、マルコ・スクータロです。父がイタリア人、母がスペイン人という家系に育ったスクータロは、2002年、当時26歳でニューヨーク・メッツからデビューした遅咲きの選手で、最初の2年間は打率.216と、一流とは言いがたいバッターでした。その後、オークランド・アスレチックスなどでレギュラーとなるもののユーティリティプレイヤーとしての起用で、今年の7月28日にコロラド・ロッキーズからトレードでスクータロを獲得した際も、ジャイアンツはレギュラーと考えていなかったようです。

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