【MLB】新人王も夢じゃない。
チームメイトが語る青木宣親のすごさ

  • ブラッド・レフトン●文 Brad Lefton
  • photo by AP/AFLO

 また、レッズのトッド・フレーザーは、6月上旬2割6分だった打率を8月下旬にはシーズン最高の2割9分8厘にまで上げた。その間守備では、一塁、三塁、左翼を守るなど万能ぶりを発揮。9月になって2割8分0厘(18本塁打、62打点)と打率を下げたが、まだまだチャンスはある。

 若干23歳、3Aを経験せずにレギュラー捕手の座を獲得した、ロッキーズのウィリン・ロサリオも注目のひとり。打率2割5分9厘、25本塁打、66打点の成績を残しており、メジャー新人の中で本塁打2位、長打率2位の位置につけている。また守備面でも、リーグ平均27%の盗塁阻止率に対し、ロザリオは39%。攻守にわたって好結果を残している。

 青木のチームメイト、マイケル・フィアーズも117.1回を投げ、9勝8敗、防御率3.38、117奪三振の数字を残している。またブルワーズ史上初、自身最初の100イニングでの100奪三振を達成した。

 これらの選手のほとんどは、初めて経験する長く過酷なシーズンの中で浮き沈みを経験している。しかし、大きなスランプもなくコンスタントに結果を残している青木の活躍は、いい意味で目立っている。彼がこれまでに経験した日本での144試合よりも長いメジャーリーグ162試合。もし彼が豊富な経験と理解力で乗り切ることができれば、新人王の可能性も高くなるのではないだろうか。

 2007年に新人王を獲得したブラウンは、「青木はブルワーズに攻撃に不可欠な存在」だと語る。

「もっとも興奮した試合はカブス戦、彼がサヨナラホームランを含む2本塁打を打った日だよ。あの日はすごかった。誰も彼に長打は期待していなかったと思うんだ。でも、彼はすでに9本も打っている。優れた打者だということは分かっていたけど、彼の長打力にはみんな驚いているよ。守備においても、強肩だし、返球もとても正確だしね」

 青木の活躍に引っ張られるようにチームの調子も上がってきた。まだまだワイルドカードでのプレイオフ出場の可能性もあり、もし出場するようなことがあれば青木の新人王の可能性もさらに高くなるだろう。シーズンも残り少なくなってきたが、青木の勢いはまだまだ止まりそうにない。

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