【MLB】絶好調レッズ。黄金期以来のシーズン100勝なるか?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 そんな球史に残るチームと比較するのは酷な話ですが、それぐらい今シーズンのレッズは素晴らしい戦いぶりを見せています。その強さの源となっているのは、間違いなく『投手力』でしょう。ダスティ・ベイカー監督も「ビッグレッドマシンほどの打撃力はないが、投手力は勝っているのではないか」と語るほどです。現在、ワシントン・ナショナルズに次ぐナ・リーグ2位の防御率3.42をマーク。メジャー5年目のジョニー・クエトや、サンディエゴ・パドレスから獲得したマット・ラトスら若い豪腕投手陣が、レッズの快進撃を支えています。

 特に才能を開花させたのが、26歳右腕のクエトです。長身豪腕投手が多いなか、クエトの身長は178センチ。投手では最も小柄な部類に入ります。しかしながら、独特の投球フォームで時速150キロ以上の速球を投げるのです。そのフォームは、わかりやすく言うならば、野茂英雄投手でしょうか。身体をセンター方向にひねってから投げ、アメリカでは往年の名投手ルイス・ティアント(元ボストン・レッドソックス)の投球フォームに似ていると言われています。

 現在、クエトはリーグ1位タイの17勝、さらにリーグ1位の防御率2.58をマーク。今年のサイ・ヤング賞最有力候補と囁(ささや)かれています。さらに注目すべき点は、クエトの被本塁打数でしょう。レッズの本拠地グレートアメリカン・ボールパークは最もホームランの出やすい球場のひとつなんですが、クエトは今シーズン28試合の先発登板で、ホームランを打たれたのは9試合のみ。計188イニング3分の2を投げて、わずか11本の被本塁打数なんです。さらに14試合で7イニング以上投げて2失点以内に抑えるなど、安定感も抜群。こんなすごいピッチャーは、70年代のレッズにもいなかったと思います。

 ただ、今シーズンのレッズには、クエトと並ぶサイ・ヤング賞候補がいるのです。それが、クローザーのアロルディス・チャップマンです。2009年のWBCキューバ代表で、2010年にレッズに入団。2011年には人類最速となる時速106マイル(約171キロ)を計測し、大きな話題となりました。

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