【MLB】7月のトレード期限を終え、補強に成功したのはこのチーム (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 後半戦に入って、レンジャーズ投手陣の調子は下り坂です。開幕投手を務めたコルビー・ルイスに続き、抑えから先発に転向したネフタリ・フェリスも、右ひじ手術で残りシーズン絶望となりました。つまり、開幕当初の先発5人のうち、2名が脱落した状況なんです。

 さらに、今年5月にFAで獲得したロイ・オズワルトも、移籍後は防御率6.49と奮わず、ブルペンに降格。また、ダルビッシュ有投手も7月の成績が1勝3敗・防御率5.74と、少し調子を落としています。デンプスターがこの窮地を救えるかどうかが、リーグ3連覇のカギを握っているような気がします。

 一方、レンジャーズを猛追したいエンゼルスは、グレインキーの加入でジェレッド・ウィーバー、C.J.ウィルソン、ダン・ヘイレンという『超強力先発カルテット』を形成しました。まるで昨年のフィリーズ(ロイ・ハラデイ、クリフ・リー、ロイ・オズワルト、コール・ハメルズ)を彷彿とさせるような豪華さです。トレード期限を境に、エンゼルスとレンジャーズの立場は逆転したかもしれません。

 今回のトレード全体では、やはりイチロー選手のニューヨーク・ヤンキース移籍が一番大きな出来事でした。今トレードの目玉だったコール・ハメルズは、6年総額1億4400万ドル(約112億3000万円)の超大型契約でフィリーズに残留。サイ・ヤング賞投手のクリフ・リー(フィリーズ)、昨年13勝のジョシュ・ベケット(ボストン・レッドソックス)、カブスの4番アルフォンソ・ソリアーノ、マーリンズのエース格ジョシュ・ジョンソンといった大物も、トレード期限まで動きませんでした。ただ、8月以降もウェーバーによるトレードは可能なので、各球団の動向からまだ目が離せないと思います。

 ともあれ現状では、ドジャースとエンゼルスの後半戦が楽しみです。ロサンゼルスを本拠地とする2チームがどんな飛躍を見せてくれるのか、ア・リーグ、ナ・リーグとも『西地区』に注目してください。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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