【MLB】ヤンキースがイチロー獲得を急いだ理由とは? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

今、イチローはライトを守っているが、スウィッシャーが復帰するとレフトのポジションになる予定今、イチローはライトを守っているが、スウィッシャーが復帰するとレフトのポジションになる予定 またヤンキースは、今トレードでさらなる守備力強化も図りたかったと思います。というのも、攻撃面ばかり注目されるヤンキースですが、実は高い守備力も重要視しているチームだからです。今シーズンもリーグ4位の守備率を誇り、外野にはアトランタ・ブレーブス時代に10年連続ゴールドグラブ賞を受賞したアンドリュー・ジョーンズ、そして内野には同じくオークランド・アスレチックス時代に6年連続同賞に輝いたエリック・チャベス三塁手と、内野・外野ともに控え選手を充実させています。通算28度目のワールドシリーズ制覇のために、守備の強化は欠かせません。そういった意味でも、スピードと守備力で高い能力を兼ね備えるイチロー選手は、まさにうってつけの選手といえるでしょう。

 もともとヤンキースは、シーズン後半戦に強いチーム。毎年のように地区優勝を争えるのは、ヤンキースが的確な補強をしてきた証拠です。ヤンキースの戦略は非常に長けているので、イチロー選手の獲得は最優先事項だったはず。きっとヤンキースの足らない部分を、しっかりと補ってくれるでしょう。

 さて、気になるイチロー選手の起用方法ですが、おそらく打順は8番か9番になると思われます。10年連続で出場したオールスターでも、1番イチロー、2番デレク・ジーターという打順が多かったので、ヤンキースでそれを期待したい気持ちも十分わかります。しかし、1番のジーターは前半戦から絶好調で現在リーグ2位のヒットを放ち、昨年打点王に輝いた2番のカーティス・グランダーソンも、今季すでに27本塁打を記録。この1番・2番は、今シーズン不動のコンビなんです。よってジョー・ジラルディ監督は、イチロー選手をその前で起用し、『もうひとりの1番バッター』として活躍することを期待していると思います。

 そしてもうひとつ、イチロー選手の移籍で目に止まったが、背番号の『31番』です。31番といえば、1980年代にヤンキースの中心打者として期待されたデーブ・ウィンフィールドを思い出しました。ウィンフィールドは1973年にドラフト全体1位でサンディエゴ・パドレスに入団し、マイナー経験なしにデビューした超エリート選手です。1981年、FAで当時史上最高額の10年総額2300万ドル(約47億円・当時)でヤンキースに移籍してきました。ただ残念ながら、ジョージ・スタインブレナー・オーナーとの確執もあり、思っていた以上の成績を残すことはできませんでした。

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